今世界で最も多忙な人ではないかと考えられるのが、アメリカのトランプ大統領であろう。アラスカでロシアのプーチン大統領と会談してすぐにワシントンに戻り、ウクライナのゼレンスキー大統領と会い、その渦中にECやNATOの首脳らとの会談を行い、常にその渦中にいる。この政治、外交面での「忙中閑なし」の中で、他にも各方面でトランプ流儀を押し付けて問題を起こしている。それは、大統領就任直後から移民政策について厳しい見方をしていることである。大統領となって直ぐに、移民を取り締まる大統領令に署名したことである。アメリカの憲法に抵触する出生地主義の見直しを求める命令や、国境の不法移民を緊急事態と宣言し、不法移民を阻止、数百万人からなる犯罪者の外国人を追放するというような粗っぽさである。
実は、この移民を排斥しようとの考えの底流には、白人第一主義、アングロサクソン・ファーストがあり、アメリカ原住民のインディアンや、イヌイット、独立前にアフリカから連れて来られた奴隷の子孫らに対しても冷たい。
意外なことは、アメリカのプロ・スポーツの現場でも「移民排斥」の動きが見られることである。野球(MLB)やバスケット(NBA)、アメリカン・フットボール(NFL)、アイスホッケー(NHL)のアメリカ4大スポーツに影響が現れ始めているという。MLBで例えれば、アフリカ系のジャッキー・ロビンソンが登場するまで、グランド上は白人ばかりだった。その後アメリカの黒人を始め、外国からMLBに加わった移民選手は数限りなくいる。MLBの今シーズンの登録選手の内、外国出身選手はドミニカ、ベネズエラ、キューバなど中南米の選手が多く、全体の27.8%を占めている。日本人選手も大谷翔平選手以下12人活躍しているが、国別では6位である。
問題は、トランプ大統領の移民政策によって各スポーツ界に暗雲が広がっていることである。MLBやNBAではサッカー界の世界的普及を見て、グローバル市場へ進出する戦略を考えているが、暗い影を落としそうである。外国人選手、或いは帯同する家族に対する入国ビザの発給に制限が強まるのではないかとの懸念である。トランプ氏のお気に入り外国人選手は、先日ドジャース一行とともにホワイトハウスを訪れた大谷翔平選手だけだとアメリカ・メディアも皮肉を交えて取り上げているほどである。
トランプ大統領の卑屈な外国人排除の考えがスポーツ現場で心配されているのは、MLBのクリーブランド・ガーディアンズを以前のクリーブランド・インディアンズに戻すよう口出ししたことである。アメフトのワシントン・コマンダースに対しても旧名のワシントン・レッドスキンズに戻すようよう求めたことである。これは以前の名称が、人種差別的表現であるがために変更したものである。これについては、大統領のプロ・スポーツに対する敬意の欠如が象徴されていると批判されている。
トランプ大統領の政治家としての言動の陰にも、本質的には人種差別感があるということをアメリカ議会人や、各国の首脳も心得たうえで話し合いをする必要がある。それにしても、どうしてアメリカ国民はこのような欠陥人間を大統領に選出したのか、今以て理解出来ない。アメリカ・ファーストどころか、アメリカを亡国へ導く大統領ではないだろうか。