6668.2025年8月15日(金) 終戦記念日に靖国神社参拝の勘違い

 今日は終戦80年の忘れられない1日である。日本武道館では、政府主催の全国戦没者追悼式が開かれ、ご遺族4,500人が参列された。正午の鐘と同時に参列者全員が黙祷を捧げ、天皇陛下がお言葉を述べられた。石破首相も恒例により式辞を述べられた。その中で、「進む道を2度と間違えない。あの戦争の反省と教訓を、今改めて深く胸に刻まねばならない」と述べ、先の大戦に対する反省の言葉を首相の式辞として13年ぶりに復活させた。この戦争では、310万人が亡くなられ、残されたご遺族も高齢となった。実際2019年にはご遺族は57万世帯おられたが、6年後の今年は全国で4割近く減少して35万世帯になった。高齢化現象が進むと戦争自体を知らない人が増えて、戦争の恐ろしさや無意味さが伝えられなくなる。今最も懸念されている現象である。歴代の首相が、かつては毎年のように終戦記念日に戦犯も祀られている靖国神社に参拝して、戦争で尊い命を犠牲にした人たちに尊崇の念をもって哀悼の誠を捧げたと言っていたが、戦争犯罪人と断罪された戦犯を慰霊することは、戦争を肯定するものだとの国論が強まり、安倍首相以後首相が終戦記念日に靖国神社にお参りすることはなくなった。代わりに右翼の代表のような高石早苗・前経済安全保障相や、小泉進次郎農水相が参拝した。

 ショックを受けたのは、参政党神谷宗幣代表以下国会議員団が、揃って昇殿参拝をして、「2度と日本が戦争に巻き込まれないように、戦争の惨禍にあわないように、平和を守る政治をしたい」と語っていたことである。人気取り政策ばかり考えて、毅然とした党としての方針を国民に充分説明もせず、憲法改定案では、再軍備に積極的で、戦前を思わせるような修身復活を教育の一環に組み込もうと考える議員らにはとても国の政治を任せることは出来ない。しかも、彼らの中には、誰ひとりとして戦争を実感として知っている議員はいない。むしろ危険分子である。

 実は、今年は日清戦争終戦130年、日露戦争終戦120年にも当たる終戦にとって因縁の年でもある。いずれの戦争にも日本は勝利したと喧伝されているが、日露戦争に至っては、仲介によって終戦に手を打ったが、実際には下手をすると敗戦の道を歩みかねなかった。どうしても負けず魂から、勝ち戦を誇りたいのだろう。今でも日露戦争を勝ち戦と考えている戦争肯定派は、太平洋戦争の負け戦の体験者が高齢化により減少するのを好いことに、戦争へ積極的な対応をする人々が多くなった。

 私自身旧厚生省主宰の太平洋戦争戦没者遺骨収集事業や、遺族会や戦友会が主催する戦跡慰霊団に20年以上に亘り関与してきた。その間に戦跡を度々訪れ、ご遺族や多くの戦友会の方々から、現地で、或いは国内で生々しい戦争の恐ろしい話や悲しい話を聞いた。そして、太平洋戦争とは別に、ベトナム戦争や、第3次中東戦争の現場で私自身が戦争に巻き込まれそうになりながら、臨場感で戦争の怖さをとことん知らされたものである。銃弾飛び交う現場に行かなければ、戦争の実態や真の怖さなんて分かるものではない。参政党議員らももう少し冷静に考える必要がある。

2025年8月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com