最近メディアによる報道の偏向ぶりが些か気になっている。保守的な読売新聞政治部が思いもかけず「石破降ろし一辺倒」に陥り、先月23日には「石破首相退陣へ」との号外まで打った。これについてはやはり保守の産経新聞も同じ内容の号外を発行した。日本のメディアは公正中立を売り物にしていたので、これには驚いた。だが、石破退陣は現時点では実現していないので、天下の読売の誤報と言わざるを得ない。産経に至っては、今朝の産経抄で、「信なければ立たず」と言う言葉を持ち出して、相変わらず石破首相の地位に連綿としている姿勢を皮肉たっぷりに批判している。つまり、政治思想家マキャベリが言った、君主は避けなければならないことの一つとして、「軽蔑されること」を挙げているが、産経は地位に恋々としてしがみつく首相はその轍を踏んでいると訴えている。「自民党両院総会で参院選大敗の責任を問われ、総裁選前倒し実施を求める声が相次いだ首相に、信があるとはもはや思えない」と突き放して読売同様に石破首相退陣論を訴えているのである。
アメリカではメディアは、必ずしも中立の立場を取らず、自社の主張に合った考えの政党、政治家を支持することが多く、与党派であったり、野党派となったり、メディアとしての自社の主張をアピールするケースが多い。率直に言ってこの読売の行動は疑問である。政党の行動が自社には相容れられないと考えたにせよ、勇み足の号外を出して、その通りにならず石破政権を愚ろうした形になったが、まず報道の誤りを反省して読者に謝罪すべきではないかと思う。そのうえで、礼を失した点で、石破首相にも詫びるのがエチケットではないかと思う。
ついては、これとは若干主旨が異なるが、先日参政党が神奈川新聞の石橋学記者に対して事前の登録がなかったとして出入り禁止を申し渡したことが話題になっている。昨晩日本ペンクラブ言論表現委員会よりメールがあり、この件について勉強会を開くという。石橋学氏はこれまで在日外国人の人権問題や、ヘイトスピーチなど差別行為の実態について取材を続けている記者だそうである。
また、今朝TV「サンデーモーニング」に久し振りにコメンテーターの青木理氏が姿を見せた。冒頭に司会者が、昨年10月以来10カ月ぶりの出席だと紹介したが、本人もある政党に対して行き過ぎた行動を行ったことや、「人々はなぜ自民党に入れ続けるのか」との質問に対して「一言で終わりそうじゃない。劣等民族だから」と応えたことに対して誹謗中傷を交えた非難が寄せられ、本人も自分自身もそう受け取られる一面もあったので、今後は気を付けたいと反省と謝罪の言葉を述べていた。青木氏は、共同通信で韓国駐在員として勤務し韓国問題に詳しいが、普段から比較的厳しい指摘をするので、一目置いていた。これからも今まで通り率直な意見を聞かせて欲しいと思っている。