昨日までに市長を辞めると広言していた学歴詐称の田久保真紀市長が、昨晩営業時間が過ぎてから市役所とは別の場所で会見を行い、辞めると言っていた市長職にこのまま留まり、選挙で市民に約束した公約を果たすためにこのまま市長を続けるとそれまでの発言を覆した。
6月に学歴疑惑が伝えられてから1カ月間は、伊東市議会はこの市長の学歴詐称疑惑で上へ下への大騒動となり、結局卒業したと思っていた大学は除籍処分になっていたと市長自身が初めて知ったというウソのような事実が暴露され、政治家として、また人間的にも信用出来ないと周囲から多くの不満の声が寄せられていた。この期に及んでこのまま市長職を続けるとなると市役所職員との信頼関係も不安であり、市民から支持も得られず職務をスムーズに果たせるかどうか疑問である。当然市議会議長、並びに副議長は強い不満を示している。直ちに市議会を開催し、市長不信任決議案が可決されれば、市長は多分議会解散を宣すると思う。その後に市長選、市議選を行う場合の時間的ロス、選挙費用などを考慮するとおいそれとは決めにくいと思う。しかし、市の現状はあまりにも劣化している。これを早く立て直さなければいけない。残念ながらこれほど世間を騒がせるスキャンダルでありながら、今日はメディアでもあまり報道されなかったが、この結末にはやはり関心がある。どういう結果になることだろうか。
さて、かねてより小中学生のスマホへの依存度が高まるにつれて、彼らの学力が低下するのではないかと懸念していたことが、今日の朝刊各紙に大きく報道されている。3年ごとに子どもの学力の変化を見るために、国が「経年変化分析調査」として実施している小学6年生と中学3年生の試験結果を分析したものである。特に英語力が低下した中3年生の場合は、中学に入学して習い始めた英語がコロナによりかなり影響を受けたことが劣化に繋がったようだ。調査課目は主要科目は、小学生が国語と算数、そして中学生が国語、数学、英語であるが、3年前の前回は6年前の前々回に比べて全般的に成績は向上したが、今年はすべてにダウンしてしまった。これには主催者の文部科学省も大きな衝撃を受けたようで、成績が下がった原因について分析が必要と述べただけだが、周囲の識者の間では、深刻に受け止められている。
全般的にコロナの影響もあるだろうが、基本的には低年齢層から教育面でデジタル化に少しずつ染まるようになり、2030年以降にはデジタル教科書を正式な教科書にするよう中央教育審議会作業部会が提起していることが気になっている。作業部会では、国民や教育関係団体から意見を取りまとめ今秋までに結論をまとめる見通しである。
4月26日の本欄にすでに取りあげたことであるが、国際学習到達度調査で当初は世界のトップの地位にいたフィンランドが、その後4半世紀の間に徐々に順位を下げたのは、早くから児童生徒にノートパソコンを配布して情報通信技術を導入したが、子どもたちが紙の本を読まなくなった。同国では一部の都市でデジタル教科書から紙の教科書へ回帰する動きが出てきた。言語脳科学専門の酒井邦嘉・東大教授は、人間の脳の特性を踏まえると学習に最も適しているのは紙媒体だと言い、新井紀子・国立情報学研究所教授は、紙の教科書のメリットを主張し、近年子どもたちの読解力が低下する心配があり、大規模な予算を投じて小中学校にデジタル教科書を導入するメリットは感じられない。とりわけ長年に亘って教師が培ってきた指導法をデジタル教科書で失ってしまうと悲観的に捉えている。
ではなぜこのようなマイナス面が取り沙汰されるデジタル教科書を義務教育の中へ導入しようというのだろうか。はっきり言うなら、これはマイナス面を打ち出している教育界の意向というより、権力がからまる政治のお節介のせいではないかと思っている。