朝起きたらテレビでは、昨日の選挙報道をわいわいやっていた。自民党が大勝して、連携していた公明党と併せて325議席獲得したというから文句なしの圧勝である。総定員数(480)の2/3が320議席だから、これを上回ったのは、(参議院は過半数にもなっていないので、仮に2/3をクリアできればの話だが)憲法改正を行動に移せる議席数である。それに引き比べて、政権政党だった民主党の惨めな負けっぷりには言うべき言葉もない。国民との約束をほとんど実行できなかったことを国民から厳しく批判されたと言えよう。近来稀な歴史的大敗北と言われている。大勢が判明した時点で、野田首相は敗北の責任を取り民主党代表辞任を発表せざるを得なくなった。民主党が獲得した議席は僅か56である。解散前が233(選挙時は230)だったから、前代未聞の急降下である。選挙戦では肝心の政策論争はあまりなく、選挙戦で自民党が民主批判を行ったことが効果的だったと見られている。大物議員、現職大臣も轡を並べて討ち死にである。大物落選リストまで出回っている有様である。
期待された第3極もそれほど目立つようなサプライズはなかった。「日本未来の党」が脱原発一本槍で国民に訴えたが、準備期間が短かったせいもあり、伸びるというより沈んだ選挙だった。公示前の61議席がたったの9議席にまで落としたのである。「日本維新の会」が11から54議席に増えて存在感をアピールしたが、石原代表と橋下代表代行の間にかなり意見の食い違いが見られ、早晩分裂の危機を孕んでいる。僅かに「みんなの党」が8から18議席へ増やしたのが、目だった程度である。
与党では藤村官房長官、城島財務相、樽床総務相、三井厚労相、中塚金融相、田中文科相、下地防災相、小平国家公安委員長らが次々に議席を失った。小選挙区では敗れたが、比例代表制で辛くも復活した議員も多数いる。連続11回当選を誇り絶対の自信を持っていた北海道の横路孝弘・前衆議院議長以下、菅直人・元首相、海江田万里・元経産相らが救われた。
日経紙は、民主党に対して有権者の投票行動が懲罰投票だったと手厳しい評価を下している。
昨日の総選挙で一番がっかりしたのは、投票率の低下だった。戦後最低の投票率となった。今回の投票率は59.26%で、前回の投票率69.28%に比べて10%以上も低い。これは極めて深刻な問題である。いずれその原因は世代別、性別に詳しく分析されるであろうが、若者の政治と選挙への関心が薄くなり、彼らの投票率の低下が全体を押し下げている大きな要因だと思う。実際、昨日の投票所の光景を見ていても若い人はあまり見かけなかったので、案外若者の投票行動が叩かれるかも知れない。だが、なぜそうなったのか、を根本的に精査し、対策を考えないと今後投票率は悲観的な傾向を辿るようになるだろう。投票を忌避することは、基本的に民主主義の原点を拒否することでもある。
いずれにせよ、自民党が政権を奪取することになり、安倍総裁が次の総理大臣になることが決まった。今や内外に問題山積である。この難局にあって、安部総裁にこれを乗り切るリーダーシップと能力があるのか。5年前に無様な退場を見ただけに、あまり大きな期待は持てないが、それでも当面は安倍総裁に頑張ってもらわなければならない。
同時に行われた東京都知事選で当選した、猪瀬直樹氏の獲得総数が433万8936票で都知事選史上最多得票だったという。対抗馬の宇都宮健児・前日弁連会長や松沢成文・前神奈川県知事らに圧倒的な差をつけた。「民意は最も尊重すべきもの」と難題を抱えた格好の都議会に早くも先制パンチを放っている。課題も山積しているが、どうクリアするか、お手並み拝見といきたい。