6634.2025年7月12日(土) 日米交渉の今後の在り方

 このところ度々取り上げているが、アメリカのトランプ大統領の横暴、かつ傲慢な言動が、世界中に無礼で、かつ不愉快な印象を与えている。このほど関税に関する書簡を各国首脳に送ったが、これも各国の不快感を駆り立てている。現在までに交渉がまとまったのは、イギリスとベトナムの僅か2か国しかない。ブラジルに対しては、9日これまでの関税率を10%から一気に50%へ引き上げると通達した。最高の関税率である。これはトランプ氏が、ブラジルのトランプと呼ばれ、前回の大統領選で落選した直後にクーデターを企てた罪などで起訴されたボルソナロ前大統領に対して、厳しい処遇をしたルーラ・ブラジル大統領に対する当てつけのせいである。こうなると最早関税は、相互の経済問題ではなく、トランプの気分次第でどうにでもなる問題となっている。

 日本も4月以来担当の赤澤亮正・経済再生相が7度も訪米し、大統領をはじめ担当長官らと話し合いをしているが、一向にまとまる気配がない。石破首相はトランプ氏の強気の姿勢に、うんざりしているようだが、トランプ氏のあまりにも一方的な書簡に対して林官房長官らは、聊か度を超えており外交上失礼だと憤慨している状態である。

 こんな緊急時に、アメリカ南部テキサス州で百年に1度とも言われる大洪水が発生した。死者はすでに少なくとも120人以上、行方不明者は170人以上と言われている。野党民主党からは、予算削減による人件費のカットがその大きな原因であると、トランプ大統領を非難している。メディアからもトランプ政権は当初起業家イーロン・マスク氏が管轄していた政府効率化省(DOGE)を通じた国立気象局の人員削減の影響があると指摘されている。この気候変動対策の国際ルールとも言える「パリ協定」離脱表明など、国際的な環境政策に背を向けるトランプ政権の姿勢が、大きな自然災害をもたらしていると指摘する専門家も多い。

 この他にも、トランプ氏が今年2月唐突に発言したパレスチナ・ガザ地区の住民を周辺のアラブ諸国に移住させ、アメリカがガザ地区を所有して再開発すると打ち上げたが、アラブ諸国の猛反対と国際的にも批判を浴びてそのままトーンダウンしていた。ところが、今訪米中のネタニヤフ・イスラエル首相がトランプ大統領にガザ地区の住民を域外へ移住させるための取り組みを進めていると話したことを口外したのである。同時に、イスラエルのカッツ国防相が、ガザ南部のラファの廃墟に「人道都市」と称するガザ住民の収容区域を設ける計画を策定するよう軍に指示したとイスラエル紙が報じた。近い将来にガザの住民が、避難している南部マワシから60万人のパレスチナ人を「人道都市」に移住させ、最終的にはガザの全住民200万人以上を収容することを計画している。だが、イスラエル人の考えることは、いつも非人道的な扱いをすることで、一旦「人道都市」に移住させた住民をそこから退去させないという。トランプ大統領はこの計画にも大きく絡んでいる。今やトランプ大統領は、世界中の政治、経済面ばかりでなく人道面においても眉を顰めるようなマイナス行動を行っている。

 9日には、馬鹿々々しい話だが、ホワイトハウスでアフリカ5か国の首脳と会談した後で、トランプ氏は英語を公用語とするリベリアのボアカイ大統領に「とてもきれいな英語を話されたが、どこで学んでこれほど流ちょうな英語を話せるようになったのか」と尋ねて、アフリカ国民はまだ無学だと思っているとリベリア国民の怒りを買っている。

 トランプ氏のような人物と付き合うのは難しいと思うが、石破首相ら自民党は、従来のようにアメリカの言いなりにならず、ひとつひとつ対等の立場で問題を話し合ってお互いが納得する方向へ結論を持っていくようにすべきである。今回の関税問題でも、アメリカは日本を妥協させることは容易だと考えただろうが、そうは行かなかった。日本がそういう態度で交渉に当たれば、アメリカも本腰を入れるだろう。日本はアメリカに負けずに日本の言い分を主張するよう日米交渉を進めていくべきだと思う。

2025年7月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com