一昨日猪瀬直樹・新東京都知事が、都知事選で都知事選史上最高得票433万余票を獲得したことを踏まえて、記者会見の場において敢えて「民意は最も尊重されるべきもの」と強調したことに、何か普通でないものを感じた。公言するまでもなく民意が尊重されるのは至極当然のことであり、その点で発言にやや含むものがあったのではないかと考えている。
ところがどうだろう。その疑問を明かすかのように、月刊誌「選択」12月号に何と4頁も割いて「自民党東京都連」と題する記事が掲載され、その中で都連内のごたごたについていろいろゴシップめいた内容が書かれている。それに依れば、自民党都連は今や党本部も手を出せないほど利権の伏魔殿となっていて、警察と消防を抑えていることからやりたい放題だったと驚くべき事実をすっぱ抜いている。石原前知事はこの都連の利権構造に手を入れようとしたが、流石の石原氏も逆に都連を牛耳る内田茂・幹事長に頭を下げさせられたというから相当なヤクザ性と政治力を持ち、都政にプレッシャーをかけていたかが分る。
猪瀬知事はかつて道路公団改革に関わっていたために、土木建設部門を支配していた内田派に警戒され、猪瀬氏がアメリカのワシントンD.C.のように東京23区を国の直轄地とする構想を掲げたことで、副知事就任も反対された。結局猪瀬氏が所管を持たないとの条件付で副知事に就任したいきさつがあった。どうも猪瀬氏と内田氏らとは元々一触即発のただならぬ対立関係にあったようで、猪瀬氏が都知事に決まった今内田氏らが猪瀬構想をぶち壊そうとする動きに対して、猪瀬氏が先手を打ったのではないかと考えられる。
東京には外見上の近代都市の裏に、暗黒の中で蠢く封建制と「ムラ社会」の利権が混在している。こうなれば、猪瀬知事にはこういうあくどい、利権一派の内田・都連幹事長らの圧力にくじけることなく、思うように民意を汲み取り都政をリードしてもらいたいものである。
さて、今日の日経平均株価は4月以来となる1万円を突破して、昨日より237円高の10160円を記録した。アメリカの経済不安材料だった「財政の崖」が遠のいたことや、ヨーロッパの信用不安の大きな原因であるギリシャの財政不安が一応回避されたことで、海外投資家の日本への買い注文が膨らんだからだとされている。
もうひとつのビッグニュースは、夜9時過ぎになって飛び込んできた。今日行われた韓国の大統領選挙で初めて女性大統領、朴槿恵(パク・クネ)氏が選出されたことである。言うまでもなく、朴女史は日韓条約を締結した時の朴正熙大統領の娘である。日韓関係も竹島問題が絡んで停滞しているが、親日派と言われた父親とは一線を画して日本に厳しい対応を取り続けるのか、新大統領の動きからしばらく目が離せない。