国内外ともに騒がしい事件が起きている。その中で地味なようだが、こんなとても看過出来ない馬鹿げた事件も起きている。最近になって連日のように報道されている福島県いわき市に本店を置く「いわき信用組合」の大型不正融資問題である。本来零細企業向けの融資を主とする信用組合は、全国に140組合あり、その中でいわき信用組合は預金量では30番目の規模で、信用組合の中では大手で地域企業には欠かせない金融機関である。自分たちの悪行を調査していた同組合が設置した第三者委員会が、昨日調査報告書を公表した。これまで約20年以上に亘って繰り返された不正融資総額が、約1,300件で融資額が実に約247億円にも上がると認定された。他にも10年ほど以前には、職員が1億9千万円を横領していたことも明かされた。不正融資は、理事長以下役職員がともに隠蔽工作を行っていたと見られておりお話にならない。
同信組が冒していた不正融資の手口は、大口融資先が経営破綻した際に、新たに架空の別口座を開設して新たに融資する形を取ってその融資額を破綻した企業への貸し付けたことによって補填していたというものである。
同信組の悪質なのは、2011年東日本大震災で大口融資先が被災して営業休止の状態に陥り、震災対策として国から信組に200億円の公的資金が注入された。それを悪用して無断で借名の架空融資に回収困難として損失に計上し、帳簿上帳消しにする処理を行っていたのである。
流石にこれだけの高額の仮融資を長期間見抜けなかった監督官庁にも問題があったと考えざるを得ない。20年以上に亘り架空の融資口座を設定してその間理事長以下役員、職員が外部に知られないよう事実を隠蔽しごまかしていたことは金融業にとっては考えられない。よくも20年間も隠蔽がばれなかったものである。この事実を知った金融庁は怒り心頭のようだが、自らも反省することが必要ではないか。さもなければ同じような不正事件は、今後も発生しないとは言えない。
さて、このところコメ高騰問題が注目され、政府の備蓄米の放出、そしてそれに伴い新任の小泉農水相が手を付けた随意契約が話題になっている。農水相が、農水省が主導して緊急対策として放出米を随契により行うと公表してから、急速に高騰していた米価が種別ごとに値下がりを始め、市場に銘柄米から2021年産の古古古米と称する米まで市場に出回るようになった。これにより4千円を超えていた米価が、銘柄米の4千円と3千円台、2千円を割る古古古米の3種の米が出回るようになった。いつも結論が出るのが遅い政府の対策に、新「米」担当大臣が就任するや、良し悪しは別にして割合すっきりと、しかもスピーディに国民対策行政が行われたことは、スーパーなど一部では批判的であるが、一応評価すべきであろう。
その過程で江藤前農水相の「米は買わない」発言が、顰蹙を買い大臣を辞任することになったわけだが、玉木雄一郎・国民民主党代表にも「あと1年経ったら動物の餌になるようなもの」との発言には批判が出ている。どうも政治家というのは、言動が軽薄だと思わざるを得ない。