6590.2025年5月29日(木) 日本国内における米軍の優先度

 終戦後米軍が占領軍として日本へ乗り込み、日本のすべての機構、組織を掻きまわし日本国民を支配した。そして80年が経った。その間に日本は1952年サンフランシスコ講和条約の締結により、再び独立国家へ戻りアメリカの支配から解放された筈であるが、実態は必ずしもそうなっていない。それどころか、近年アメリカの日本に対する過剰な要求と圧力は些か度を越している。

 その実情を挙げれば、ひとつは沖縄米軍基地周辺のトラブル発生が、日本の秩序を乱しかねないことである。その原因は日米両国間で結ばれた日米安保条約上の日米地位協定である。その中に日本国内の米軍に法的特権を認め、日本はその米軍基地を管理できないということである。つまり米軍の組織、行動に対して口ひとつ差し挟まないという条項である。米軍駐留経費も日本が他国の米軍駐留費に比べて、並外れて多額を負担している。これを好いことに米軍兵士が日本で無軌道な行動をしても日本政府が彼らを処分、指導出来ない。石破首相はこの協定に以前から批判的だったが、自民党総裁選で日米同盟は外交、安保の基軸になると主張し、対等な日米関係の実現のために地位協定の改善に意欲的だった。しかし、その後就任したトランプ流強気姿勢に出鼻を挫かれたのか、いつのまにやらトーンダウンしてしまった。

 最近在日米軍による不祥事が急増していることが気になっている。東京都内には、オスプレイが所属していた横田基地をはじめ、7つの米軍基地があるが、度々PFASによる有毒ガス漏れが東京都へ報告されなかったり、殺人事件をはじめ刑法犯罪の頻発などもすべて東京都へ報告されているわけではない。意図的な隠蔽が多いのである。基地が広い沖縄では、兵士による市内での女性暴行事件なども相変わらず発生している。問題は、その後の米軍基地司令部が日本側に逮捕、裁判権を与えようとしないことである。これでは戦後長い時間が経過したが、日本は相変わらずアメリカの支配下にあると思われても抗弁のしようがない。

 5月に石破首相がトランプ大統領と初めて会見するために訪米したが、大統領は在日米軍の駐留経費を巡って日本側の負担を増額するよう打診したが、今日の朝刊に目を通すと日本政府はそれを受け、米軍住宅など提供施設整備費について数百億円を上積みする方向で検討に入ったと報じられている。

 現在日本側の在日米軍駐留経費負担額は毎年度平均約2,110億円である。ところが、トランプ大統領はこれにも満足していないらしく、不公平だと不満を漏らしている。元々米軍が日本に駐在しなければ、このような今の野放図な要求はなかった筈である。アメリカの視点から、アメリカは日本が第三国から攻撃を受ければ、米軍が日本を防衛はするが、その逆に米軍基地が攻撃されても日本は対応しない現状は不公平だとぼやいていた。どうもアメリカの身勝手な論理ばかり強調しているが、日本は今でも自衛隊が米軍から高価な兵器を購入したり、東京上空の航空域など日本領土内にあってもアメリカの管理が優先するなど、「不公平」とはアメリカが言うべきことではないと思う。日本政府もいつまでもアメリカの占領下にあるような同盟関係を、もっと対等の立場に立って実のあるものにするよう、アメリカに対して言うべきことは言わなければいけない。

2025年5月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com