今アメリカでは、連邦政府がハーバード大学を処分する話が大きな話題となっている。昨日連邦政府はハーバード大と契約する調査や研究、研修などすべての契約を打ち切る方針だと主要メディアが伝えた。これら研究の中には、ビジネス関係の完全な断絶となるものがあり、国立衛生研究所と多岐に亘りコーヒー接種の影響などを調査していたような案件も含まれている。政権は大学への約30億㌦(約4,300億円)の補助金を取り止めることを検討しているという。今後もトランプ政権は同大へ圧力を強化していくことだろう。そして今日ルビオ国務長官は在外米大公使館を通じて、ハーバード大だけでなく、アメリカの大学へ留学希望者を対象とする学生ビザの発行に必要な面接の新規予約を一時停止するよう命じた。これは日本人留学希望者にとっても大分厳しい対応となる。
また、この停止処分は、優秀な人材を国外へ追放してアメリカの知的レベルを低下させる点でも懸念されているのである。トランプ氏はハーバード大の学生は、2+2も分からないと大学と大学生を愚弄するような発言をしている有様である。こうしてアメリカは自国の知恵袋を捨ててしまうのだ。
こんな連邦政府が学力・知識軽視の最中に、マイクロソフト創業者でIT業界の大立者ビル・ゲイツ氏が、2017年のトランプ第1期大統領時代にトランプ氏と会った時の印象を語っているのが興味深い。トランプ氏は、エイズを引き起こしたエイズウィルス(HIV)と子宮頸がんの原因となったHPVの違いが分からず、ゲイツ氏に2度も質問をしたとばらしたのである。トランプ大統領は、これまでにも習近平国家主席と会談した直後に「朝鮮は中国の一部だった」と語り、追及されると朝鮮ではなく、中国の一部だったのは北朝鮮だと訂正したが、北朝鮮は独立国で中国領ではないという常識的な事実認識に欠けていた。トランプ大統領とは、偉そうなことばかり口に出す政治家だが、所詮その程度の知的レベルである。また、私利私欲に捉われているが、一方のゲイツ氏は、このほどアメリカ政府が国際的支援縮小に向かったことに反して、全財産約30兆円を今後20年内に寄付すると表明した。
これまでの言動から推してあまりインテリには見えない大統領が、エリート大学に圧力を加え続けるのは、過去に余程の恨みや屈辱があったことによるコンプレックスの裏返しではないだろうか。世界中に紛争の種をばら撒いているトランプ大統領が、このまま大統領の地位に留まっているのは、世界の人びとを不幸に仕向けるだけだ。1日も早く辞めてもらいたい。それにしても相変わらず誰も大統領の無軌道な言動を止めようともせず、大統領におべんちゃらのような気遣いばかりしているが、こんなことは何とかならないのか。
不愉快なトランプ話とはガラリと変わって晴れがましい話をひとつ紹介したい。今日日本相撲協会は、去る25日(日)に大相撲夏場所で2場所連続優勝を達成した大関大の里を、満場一致で第75代横綱に正式に推薦することを決めた。早速使者が部屋へ遣わされ本人に直接伝えた。これで来場所の番付には、豊昇龍と並んで東西横綱がそろい踏みすることになった。そのために大関が琴櫻だけになってしまい、次の名古屋場所では大関争いが熾烈になることだろう。とにかく大の里は稀に見るスピード出世である。初土俵以来13場所で横綱へ昇進した力士は、明治以降最速である。大相撲が年6場所制になった1958年以来21場所で昇進した同じ能登出身の輪島を凌ぐスピードである。夏場所も連日大入り満員だったが、このまま相撲人気が続くことだろう。
ところで、今日TVの「徹子の部屋」に偶々妻とともにゲスト出演したハワイ出身の元大関・小錦が、アメリカで相撲人気が徐々に盛り上がっていると説明していたことが興味深かった。自身アメリカで相撲を取って見せながら相撲を紹介し、相撲は体格の大きさに関係なく、勝負出来ることと、礼儀正しいスポーツであるとPRしているそうだ。毎場所外国人観客が増えているので、今後も人気は高まるだろうとにこやかに語っていたことが印象的だった。
一度トランプ大統領に国技館の土俵上で小さな日本人と相撲を取ってもらったらどうだろう。