6584.2025年5月23日(金) 夏場所13日目優勝とコメ問題の随契

 大相撲夏場所13日目の今日、大関・大の里が同じ大関の琴櫻を破り圧倒的な13戦全勝のまま今場所の優勝を決めた。先場所に続き2場所連続、4度目の優勝を飾った。横綱昇進条件の大関2場所連続優勝をクリアしたので、まだ場所後の横綱審議会の決定を待たなければならないが、現状は一人横綱でもあり、来場所には横綱へ昇進することはまず間違いないだろう。大の里の活躍により今場所は大いに盛り上がった。

 さて、米価の高騰から話があちこちに飛び、担当の江藤前農水相の失言を生み、新たに小泉農水相がコメ担当大臣となった。以前に自民党農林部会長を務めた経験もあり、かなり状況を把握しているせいか、石破首相が農水相に任命し価格引き下げのための1案として「随意契約」について述べたところ、小泉農水相はスピード感を以て米価低落のためには随意契約も考えたいと自信に満ちた表情で語った。そして随意契約が既定路線のように走り出してしまった。

 この「随意契約」という言葉は、普通の商取引ではあまり使われない。価格などの条件を踏まえて発注者が契約先を任意に決めることが出来る仕組みである。普通は役所や団体などが取引する際に価格を決める手段として使われたりすると、契約先を決める際に不正が発生する恐れもあり、国の契約などでは使用されるという例はあまりない。実際小泉農水相が「随契」と口に出した時から、自民党内からも米の小売店などからも懸念する空気が上がり、専門家も従来の入札との整合性や、随契が必要な理由をきちんと説明する必要があると述べている。また、それではなぜ最初の備蓄米の放出から随契にしなかったのかなど別の疑問も出ている。これまでほとんど効果を表さなかった備蓄米の放出で、すでに31万㌧を出し、残りは60万㌧であるが、備蓄米をすべて処分し切ってしまうと本来の用途である災害や凶作に備えるという目的が果たせなくなる可能性も考えられる。

 小泉大臣は、現在5㎏4千円台にまで高騰した米価を、取り敢えず3千円台に下げると広言したが、それも夜には一気に2千円台と伝えられるほどである。現在の高値を引き下げることに真一文字に突き進む考えのようだ。入札制なら問題とならなかった契約先をどうやって選ぶのか、そこに疑念が生まれ兼ねない。先月行われた入札の結果では、落札された備蓄米の内、全国農業協同組合連合会(JA全農)、いわゆる農協が97%を占めた。従って、随契に際して農協が指定されるのかどうかが、農協関係者にとっては気になるところである。小泉氏は自民党農林部会長だった当時、利用されている段ボールのサイズが異なっている例が相当数に上がるとして、農協にコスト意識が欠けていると批判したことがある。それを例に小泉氏は厳しく「共同購入で生産コストを減らすという協同組合が果たすべき役割を蔑ろにし、農作物や農業資材を右から左に流して手数料を得るだけの組織に成り下がっているのではないか」と述べたことがある。ひと昔前のことだが、農協幹部の中には、小泉大臣に対して必ずしも妥協的な考えを持っていない人がいる。国民としては小泉氏の力量に期待して、現状では少しでも米価が引き下げられることをひたすら願うばかりである。

2025年5月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com