今日ネットを見て知ったことだが、横浜中華街の老舗高級中華料理店「聘珍楼(へいちんろう)」が昨日破産手続きを開始したとのニュースには少々驚いた。同時にブランド「聘珍楼」も営業を停止してしまった。中華街の数々ある中華料理店の中核であり、訪れる人なら誰でも知っている創業141年の最古参店である。私自身何度か利用したこともあり、30余年前には、親しい友人であり、且つ後輩の結婚式に仲人役を務めた会場であるほど縁のある存在でもあった。最初のころはお粗末にも「聘珍楼」の「聘」という字が読めず、今どき珍しく字画の多い漢字だと感じていたくらい印象に残る店だった。近年あまり入って食べる機会はなくなったが、伝統のある名店らしく満足感をお腹に店を出たもので、いつまでも懐かしい中華料理店である。
その伝統ある中華店「聘珍楼」の思いがけない倒産は、ショックである。1884(明治17)年に創業された人気老舗中華料理店で、飲食業界に衝撃を与えているようだ。やはりコロナ渦の影響が見逃せないらしい。中華街としても地元の看板店だっただけにガッガリしているだろうし、今後の中華街のマイナス・イメージを補う意味でも試練の時となるだろう。この1年半ほど中華街を歩いていないが、今度「聘珍楼」店の前を通った時は、周辺の飲食店にも活気が感じられなくなっているのではないかと気がかりである。
さて、少子高齢化と都市部への人口流出によって、地域社会の衰退が懸念されている。中でも地方では、若年女性人口の減少が深刻化している。昨年11月時点で日本の総人口約1億2千万人で前年同月に比較して56万人も減少した。その内実に33万7千人は15歳未満である。
地方人口が減った要因として、①少子化と出生率低下、②都市部への一極集中、③経済的要因による地方離れ、④ライフスタイルの変化、⑤神学による人口流出、等が考えられている。現状のままだとすると、人口は減る一方で、将来周囲には子どもがいなくなり、年寄りばかりになる。
昨今一極集中と言う中で、とりわけ東京都の人口は、転入者が増える一方で転出者はそれほど増えず、転入超過現象により一極集中が目立っている。特に神奈川、埼玉、千葉県を合わせた首都圏の人口は、全日本人の約3割にも達している。東京には多くの法人企業本社があり、特に大手企業が数多く、それらから入る法人税収入が圧倒的に他の道府県とは差がある。このため元々東京都は財政的に裕福で、教育投資などに他の自治体とは別に多くの資金を使えて近辺の県から羨望の的とされている。
つい最近も物価高に都民の家計の負担を軽減しようと、東京都は水道の基本料金を猛暑が予想される今夏4カ月分に限定して、無償とすることを決定し小池百合子知事が公表した。もちろんこんなことは他の自治体では実施出来ない。これにより1世帯1か月当たり約5千円の家計が軽減される。我々都民にとっては大変有難いことであるが、他の自治体が羨み、不満を抱えることにもなる。
このような自治体による財政状態の良し悪しは、現時点ではそれほど大きな問題とはなっていないが、国民全般的な視点から見るとやや偏向し、東京都に有利な仕組みのように思える。企業の法人税がその企業が登記した本社所在の自治体に支払われることは、必ずしも公平であるとは言えないと思う。稼ぐ大工場が地方にあっても仮に本社が東京都内にあれば、法人税は本社のある東京都に支払うことになる。この現実を誰しもが黙って納得できるだろうか。あまり在野でこの種の問題が疑問に上がらないことがむしろ理解出来ない。