6575.2025年5月14日(水) 世界の政治、経済はどうなるのか?

 一昨日財務省は、2024年度の国際収支の経常収支が30兆4千億円の黒字となったことを発表した。これは前年度より4兆円以上増えて過去最大の黒字となった。海外投資による儲けが膨らんだが、これは歴史的な円安が大きく貢献したことが大きい。但し、どうにも不可解なのは、折角外国人観光客の増加によってこれも過去最大の黒字額6兆7千億円を稼いだインバウンド業収入が、他のサービスと一緒にされ収支全体として2兆6千億円の赤字に計上されていることである。これは海外のデジタルサービスを使うことによって生じる「デジタル赤字」が急拡大していることから生じたものだそうだが、名称こそサービスと同じであるが、別物の旅行収支と一緒にされることが、どうにも納得行かない。今後デジタル化が進むにつれて海外のIT企業への支払いが増える可能性があるため、折角インバウンド業で旅行業者が努力して稼いだ収入を帳消しにされたのでは、インバウンド業者も張り合いを失うのではないだろうか。デジタル赤字は別にして、24年度の国際収支と旅行収支が過去最多になることは喜ばしいことではある。

 ついては、今世界中から注目されている戦争、内乱であるが、ウクライナについては停戦交渉についてアメリカ、ロシアとウクライナの間で交渉が行われるようだが、あまり楽観は許されない。当事国のロシアとウクライナの間にトランプ大統領が顔を見せるか、或いは近くで別のパレスチナ・ガザ地区問題の停戦に口を出すのか、はたまたプーチン大統領は出席するのか、いつもながら分かり難い行動をしている。いずれにせよトランプ大統領はアラブへ向け飛び立った。そのトランプ大統領は昨日米中交渉で関税問題に関して今までは強気一辺倒だったが、対中国関税率を145%から一気に115%引き下げ30%にするように態度を急変させたことにより、中国側も対米関税をこれに応じて125%から10%とする姿勢を示した。

 このように常に世界中に衝撃と不安をまき散らしているトランプ大統領の行動が、また新たな人種差別問題を提起している。それは、すでにアメリカから中米エルサルバドルへ強制移送され、巨大な刑務所に収容されたベネズエラ人不法移民を、エルサルバドルはベネズエラとの交渉の材料に使っている。実はアメリカは不法移民である彼らを放逐した「人種差別的行為」の一方で、散々アパルトヘイトで現地人を圧迫していた南アフリカ国籍の白人を、トランプ大統領は南アフリカにおける「人種差別」の被害者「白人ジェノサイド」として難民認定し、アメリカに受け入れたことである。これこそトランプ大統領が「人種差別主義者」であることを露骨に証明した行為ではないか。言うことと行うことが極端に異なり、はっきり言えばウソばかり言っているトランプ大統領のような人物が、世界の争いの現場に顔を見せ主役として行動することは世界中の人びとを愚弄し続けていることであり、信じられないことである。

 日本国内でもトランプ関税を予測して、企業の経営が歪められているようだ。日産自動車が2025年3月期決算で6千7百億円の過去3番目の大きな赤字額を計上し、国内外7工場を削減し、2度に亘り約2万人の従業員を解雇すると発表した。破談したが、その日産と経営統合を話していたホンダもトランプ関税の影響を受け、7割の減益、6千5百億円もの収益減により、26年度3月期決算は、純利益前年比70%減の2千5百億円になると予想している。

 世界中が政治、社会、経済面で大きな打撲を受けているのは、トランプ大統領という悪役が世界中を荒らしまわっているからである。こういう人物は、早く姿を消してもらいたいものである。

 トランプ大統領とは異なり、世界の歴代大統領の中でも、最も質素な生活を送っていたと言われていた南米ウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領が昨13日に89歳で亡くなった。2年前に来日し、示唆に富むスピーチを行った。貧しい家庭に生まれ反政府ゲリラに参加して捉えられ、10年以上も刑務所に収監されたこともあり、5年間の大統領職を終えた後も、資産は寄付して本人はそのまま農場でつつましい生活を送り、質素な生活ぶりから「世界一貧しい大統領」との称号?を受けていた。派手な生活を送っている世界の首脳も少しは参考にされると良い。ムヒカ氏のご冥福をお祈りしている。

2025年5月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com