6573.2025年5月12日(月) プロ野球界が独禁法違反で公取委から警告

 先日東京都内のホテルが宿泊料金を談合で決定したとして、それはカルテルに繋がると公正取引委員会がホテル業者らに独占禁止法違反になると警告していたと新聞に出ていた。そして、去る8日公取委は都内大手ホテル15社が客室単価などの内部情報を交換し合うのは、不正に価格を引き上げるカルテルにつながり、独禁法違反にあたるとして再発防止を求める警告を出した。このニュースを最初に知った時、ホテルが他ホテルの宿泊料を知って価格を合わせることが、果たして独禁法に違反することなのか疑問に思い、ホテルマンだった友人に尋ねてみた。彼はそう受け取られかねない点もあると全面的には否定しなかった。

 そして、今度は別の独禁法違反でプロ野球界が公取委に疑われている。それは、昨年の日本シリーズ中継に当たり、フジテレビが日本シリーズ中継と同時刻に大リーグのワールドシリーズ(WS)のダイジェスト版を放映したことに日本野球機構(NPB)が立腹し、フジTVから日本シリーズの取材パスを没収したことが、不公正な取引方法として独禁法違反の疑いがあると公取委が調査をしているという。ただ、公取委はそればかりではなく、取材パス没収はフジTVの取材機会を一時的に奪うだけでなく、放送各局のコンテンツ選択や番組編成の成約につながる恐れがあると考えているようだ。

 確かに大谷翔平選手が活躍したドジャースの試合、特にシーズン最終シリーズであるWSは高い視聴率が期待できると思われる。フジTVが他社の日本シリーズに対抗してWSに走ったのは理解できる。

 これまで上記2件のように当事者は公取委の介入などは考えてもいなかったと思う。SNSの活用などが拡がり、本業の発展、PRなどでも少し勉強が足りないと思われている節がある。例えば、日本野球機構は取材パス没収の理由を「日本シリーズはテレビ各局、スポンサー、12球団の協力で成り立つ。この協力態勢を危うくされる状況だった」と少々未熟な理由を述べているが、あるジャーナリストはNPBの身内意識の「身内だから仲良くやっていくのが筋という考えで、その掟が破られた時に制裁を課す」スタイルをこれまで続けてきたという。その原因に、身内意識ゆえの閉鎖性が生んだインターネットへの対応の遅れがあるという。例えば、大リーグでは動画コンテンツを充実させ、SNSに投稿して広告収入を得ているが、NPBは試合中の動画をSNSへ投稿することを禁止するなど時代に逆行するばかりで、長期的には未来の市場を逃がしていると言われている。

 改めて「スピードを意識している」日本のプロ野球界が時代に遅れていることを知ることになった。これからも広い分野で公正取引委員会が、公平に問題点を探し当て更に世の中へ開示してくれることを期待したいものである。

2025年5月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com