6558.2025年4月27日(日) 観光業発展の陰で日本人と外国人の動態に違い

 昨日からゴールデン・ウィークに突入した。5月6日まで11日間の長いお休みである。長い旅行をするには打ってつけの休みだが、物価の高騰が影響して勢いの良かった旅行客もこれまでほどは伸びないようだ。インバウンドの外国人旅行客も、昨年までは増えていたが、昨年10月をピークに、その後は毎月伸び悩み傾向が見える。その中で、実数、及び伸び率が著しいトップ3はアジアの国々で、1位韓国、2位中国、3位台湾の順である。4位に漸くアメリカが入った。

 今観光地で心配されているのは、物価の高騰に合わせてホテル宿泊代がかなり高くなり、特に観光都市の京都では異変が起きている。それは、市内のホテルに宿泊する日本人が減って、その一方で外国人が増えたことである。京都市観光課が昨年11~12月に調査したところによると、市内の主要観光地を訪れる日本人の数は減少してはいないものの、市内で宿泊することを諦めている人の数が多いとみている。また、主要な観光場所である金閣寺では外国人が前年に比較して29%増えているのに反して、日本人は19%減少している現象も見られる。似たような傾向は、他の主要観光場所である北野天満宮、清水寺、渡月橋、伏見稲荷にも見られる。京都市内の歴史的な観光箇所が外国人に圧倒されるように日本人訪問客が減っているが、その一方で周辺観光地の山科、高雄、西京などを訪れる日本人は前年に比べて20%以上も増加している。

 全般的に円安市場の影響が大分影響して、外国人にとって価格はリーズナブルであるが、日本人にとっては高価な印象が強い。近年市内中心部に新設された一流外国系ホテルを例に挙げれば、客室がすべて1室40㎡以上の広さで、1泊1室5万円以上である。日本人観光客にとってはやや高価という印象が拭えない。土産物店などでも高価なお土産品は、主に外国人が買い求める。地域経済を成長させるためには、日本人、外国人を問わず観光客1人当たりの消費額を上げる必要があり、その点では地域経済にとっては日本人より外国人の方が貢献していると言える。

 前年に比べて京都市内では、日本人宿泊客が平均して15%減った一方で、外国人は約30%も増えた。混雑や、宿泊代、飲食代の高騰などを嫌い、日本人観光客が京都離れを示している可能性がある。このまま行けば、京都のみならず他の観光都市でも同じような現象が見られる可能性もあるであろう。オーバーツーリズムによる、観光都市への問題提起と同時に、円安による日本人と外国人への影響力を考えると、努力するだけでは解決が難しい問題でもある。

 今トランプ大統領の関税圧力の中で、ドル高・円安が問われている。観光という枠の中だけで考えてみるなら、円安は日本人観光客にとってマイナス面が強いが、日本のインバウンドによる観光業への影響面では、明らかに日本の観光業発展、財政の面で大いなるプラスである。この辺りを日本の財務当局は考えているだろうか。

2025年4月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com