昨年ダヴォス会議を主催する世界経済フォーラムが、日本は男女平等度で135カ国中101位というあまり誇れない順位を発表した。1位がアイスランド、2位フィンランド、3位ノルウェイのように北欧がトップ3を占めている。日本があまり上位にランクされないことは大体予想されていた。アメリカは22位だった。因みに中国が69位と日本より大分上位にいる。これは少々意外だった。
この結果は、男女間の雇用格差、教育機会、平均寿命、政界進出などを指数化して順位づけしたもので、日本は企業や官庁の女性幹部や女性国会議員が少ないことなどが影響しているようだ。儒教の国・韓国が日本より低くて108位だが、近く初の女性大統領が誕生することもあり、日本は早晩追い抜かれるのではないだろうか。
この問題について今朝のテレビで自民党の2人の女性幹部、野田聖子総務会長と高市早苗政調会長が、それぞれ前日テレビで述べた考えを紹介していたが、2人の意見が正反対だったのは意外だった。つまり野田氏は女性の社会進出に対しては数値枠(目標)を設けることが必要との考えに対して、高市氏は敢えて女性に下駄をはかせて背伸びさせることは、むしろ逆差別につながるとして他の方法を考えるべきであると提言している。それぞれ一理あるとは思うが、同じようなポジションにいる女性によっても受け止め方はいろいろある。この問題は国際的な観点からもそう長くは放っておけない問題である。
ただ、一足飛びに問題解決というわけにもいかない。まず、徹底的な検討、議論があってその上に社会機構の変更などにも手を入れなければなるまい。現在最高裁に指摘されている、憲法違反状態にある衆議院定数是正問題なども思うようにクリアできない政治家たちに、果たして男女差別の壁を取り払う気持ちがあるだろうか。その気持ちさえあれば、直ぐにでも解決できる憲法違反状態すら正常化できない政治家に、男女平等のアイディアなどあり得よう筈がない。
イスラム圏では女性蔑視と取られかねない幾多の風習があり、その点では日本より下位にアラブ諸国がランクされるのではないかと思う。しかし、民主化の風が吹くに従い、少しずつではあるが、アラブ諸国も女性の社会的進出が増えてきているようだから、日本もうかうかしていられない。
さて、独裁者アサド大統領が君臨するシリアで、相変わらず毎日内戦による死者が出ている。2011年3月発生した「アラブの春」以来6万人以上が死亡したと言われている。最近では反体制派が優勢で、政権を手放したくないアサド大統領は破れかぶれである。そのアサド大統領が昨日内戦終結を目的とする国民憲章の制定や、新憲法下での新政府樹立、自由選挙の実施などを含む包括的な和平提案をした。しかし、自身の退陣について明言せず、反体制側の反発を買っている。
アメリカ政府もアサド大統領の提案は権力に固執していると批判している。それと同時に現実離れだと受け入れる気持ちがないようだ。同じ日エジプトのモルシ大統領もアサド氏の退陣と、将来的にアサド氏を国際刑事裁判所で裁くことを求めている。アサド大統領にとっては、今や自身が退陣することしか自らと自国民を救う手立てはないのではないか。
「シリアの春」はまだ遠い。