2066.2013年1月8日(火) 高校ラグビー優勝の常翔学園高を祝す。

 昨日全国高校ラグビー決勝戦が、大阪代表の常翔学園高と奈良代表・御所実高との間で行われ、17-14の逆転勝ちで常翔学園が17年ぶり、5度目の頂点に立った。力の入った互角の戦いで観戦してみたかった試合である。

 今日の朝日朝刊「ひと」欄に「高校ラグビーで日本一になった常翔学園高の監督 野上友一さん(54)」として野上監督が写真入りで紹介されている。監督はここに到るまでの間大分苦労されたようだ。実はその陰に私自身思い当たる個人的なエピソードがある。

 常翔学園は、かつて前身の大阪工大高時代から全国屈指の強豪校として全国の高校から恐れられ、また目標にもされ、部員の指導、試合態度、マナーなどの点でも厳しい管理で知られていた。二男がスクラム・ハーフをしていた高校ラグビー部も夏休みには菅平合宿で度々大阪工大高と練習試合を行ったので、私もしばしば出かけては応援観戦していた。

 その野上監督は1996年就任の年に全国制覇を遂げた。30代とまだ若かったせいもあってつい有頂天になったのであろうか、その2年後に花園全国大会に出場した時には、鼻持ちならないほど威張りくさった横柄な態度を取っていた。その年は準決勝か、準々決勝で敗れたが、その試合をテレビで観ていると、これが高校スポーツの指導者かと目を疑いたくなるような醜態を晒していた。

 大阪工大高時代の恩師である、規律の厳しかった荒川部長兼監督の下で若いコーチとして精一杯努力しているひたむきさはまったく見られなかった。特にひどいと思ったのは、試合中ベンチで足を組みながらタバコを吸っては足元に吸殻を投げ捨て踏みつけている、指導者としてあるまじきポーズを度々見せつけられたことである。グランドで真剣に戦っている教え子の目の前で椅子に寄りかかりながら、タバコのポイ捨て、その吸殻の踏みつけを繰り返している指導教師の姿を観ているうちに次第に腹が立ち、あまりの非常識に憤慨して、その見苦しいコーチングぶりについて大きなお世話だと思ったが、その指導者らしからぬ傲慢な指導ぶりを手紙に認め学校へ知らせてやったのである。

 数日後当の監督本人から随分殊勝な反省の手紙を受け取った。それは今私の手元にある。私信でもあり公表は些か憚られるが、1998年1月20日付の書状の一部にこう書いてある。

 「~この度は全国大会中の私の態度につき、ご指摘いただきありがとうございました。まさに目の覚める思いでありました。日頃よりグランドでのマナーにつき選手には厳しく指導している立場にありながら失敗をしてしまいました。服部校長、荒川部長より『謙虚にひたむきに』という指導を受けながら思わぬ試合展開に平常心を失い、公私の使い分けができなかった自分自身の未熟さに大いに反省しております~」とボールペンで几帳面に書かれていた。更に「失敗を認め素直に指導を受け、つぎへの糧とし明るく前進する」と謙虚に反省していた。私はすぐさま野上監督に捲土重来を期待すると同時に激励の言葉を添えた手紙を送った。

 結果としてその反省が、長い15年の曲折の末に昨日監督が勝ち取った2度目の栄冠だとするなら、これほど嬉しいことはない。

 出過ぎた行為だったかも知れないが、こうして野上監督率いる常翔学園高ラグビー部が「日本一」のタイトルを獲得したことを喜び、心から祝福したいと思う。

2013年1月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com