2068.2013年1月10日(木) 高校運動部員が顧問の体罰を苦に自殺

 昨年滋賀県大津市で中学生が自宅マンションから飛び降り自殺して、いじめ問題が大きな社会的関心を呼んだが、今度は大阪市立桜宮高校バスケットボール部主将が同部顧問の体罰を苦にして自殺した。事件は昨年12月に起きたことだが、昨日になって初めて公表され各メディアが大きく取り上げ、スポーツ名門校の部活動における指導のあり方について波紋を投げている。

 同校は公立校であるにも各種のスポーツが全国レベルにあり、それだけに普段の練習も相当厳しかったのではないかと推察される。特に、当のバスケット部は毎年のようにインター・ハイへ出場して、名コーチとされた顧問教諭は全国大会出場、優勝至上主義が頭にこびりつき、指導というより教育者の立場を忘れ、部の強化の方に気持ちが傾いていったのではないだろうか。私立校ならある程度予測できないこともないが、公立校で部活動優先のあまり、このような不祥事が現実に起こり、それを防げなかったことは学校管理上問題があったと言われても抗弁できまい。

 この47歳の顧問教諭は18年もの長い間同校に勤め、実績を挙げたために他の教師も意見を言えるような雰囲気ではなかったと言われている。あり得ることである。この点について、橋下徹・大阪市長もこれは指導ではなく傷害事件であると言い切って、学校内で言いたいことが言えないようなムードを強く非難している。

 かつて、二男のラグビー部夏季菅平合宿に付き添って菅平にいた時、全国大会優勝実績のある強豪高校の練習を見る機会があった。その当時厳しい指導で知られた著名な監督が生徒をなぐりつけ、その後全員を2列に並ばせて、向かい合わせた後にお互い生徒同士で殴り合いをさせている現場を見て、これが高校スポーツでやるべきことだろうかと、気まずく嫌な場面を見てしまったという思いがあった。その後でバケツを持ったその内の数人の生徒に、先生は酷いことをするねと言ったら、黙って下を向いて去って行った。指導者には発奮させる意図もあったのだろうが、ちょっと暴力的であまり教育的な指導という感じはしなかった。いまやその高校は県内でもまったく鳴かず飛ばずとなってしまった。

 それに比べわれわれ高校時代の部活動はのんびりしたもので、インター・ハイ2位だった陸上競技部を始めとして硬式野球部、軟式野球部、サッカー部、バスケットボール部、フェンシング部等々、全国的レベルにあった運動部を中心に、私が主将だったラグビー部も含めて、体罰を課すような暗い話は聞いたことがなかった。いま思えば、青春時代の良き「教育的指導」の思い出をたっぷり与えてもらったと言えるのではないか。どっちが幸せかと言えば、ラグビーを通じて多くのことを学び、素晴らしい体験をしたこと、更にいまでもラグビー部の主要な行事に出かけたり、後輩の応援にも行って新たな思い出をもらって帰って来れることを思えば、結論ははっきりしている。

 それにつけてもこの桜宮高校のケースは、ひょっとすると氷山の一角ではないかと、別の意味で些か気がかりである。まだ文科省は何の意見も述べていないが、体罰問題がエスカレートするようだと、大上段から振りかぶって、現場がびびるような文科省見解なんてものが出される心配がある。

2013年1月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com