アルジェリアの日本人拘束事件の様子が大分はっきりしてきた。一旦はアルジェリアで拘束事件が2件発生したと伝えられたが、とどのつまりは日本人が拘束されたイナメナスの一件だけということが分った。
拘束され人質とされた日揮㈱の現地日本人スタッフの数は5人から3人に訂正された。カタールのアルジャジーラ放送によるとその内の一人は怪我をしているという。アルジェリアの南のマリ北部で活動しているイスラム系武装集団に対するフランス空軍の襲撃が、施設を襲った直接の原因だと犯人らは主張し、フランス軍のアルジェリアからの撤退を要求している。誘拐された40人を超える人々の中には、日本人以外に多くの外国人が含まれている関係上、安全第一を旨として日本政府も関係国と連携して一日も早い解決に努めて欲しいものである。
さて、昨日から今日にかけて新聞紙上には、突出した政治的、社会的、文化的ニュースが目立つ。今日は阪神大震災からちょうど18年目である。早いものである。
唖然とさせられたのは何が目的なのか、鳩山由紀夫・元首相が不意に中国を訪問し、楊外相ら中国要人と会談して日本政府の考えとは相容れない、尖閣諸島が係争地であることを両国が認めた上で解決を図るべきとの個人的見解を中国側に伝えたことである。当然政府は遺憾の意を表明したが、宇宙人・鳩山氏の真意はまったく理解できない。「日本維新の会」古賀茂明氏もテレビ番組で鳩山氏の軽佻浮薄な言動をこき下ろし、中国政府に対して鳩山氏の言動を真面目に取り扱わないで欲しいとまで述べていた。世界中あちこちで「元首相」故の信頼感のある手形を切って、国家国民に迷惑をかけ、都合良く自己主張するのは好い加減にしてもらいたいものである。
連日事故続きの新型航空機、ボーイング787が遂にアメリカ連邦航空局によって運航停止命令が出された。現在飛行している同型機は世界で49機だが、その内全日空が17機、日航が7機も抱えており、両航空会社は代替機の調達に頭を痛めることになりそうだ。
文化面では、今年度下半期(第148回)芥川賞に史上最年長の黒田夏子氏「abさんご」が選ばれた。昨年日本旅行作家協会会長・下重暁子さんから早稲田の親しい同級生が自分と同じ年齢で「早稲田文学新人賞」を受賞したと言って感激し喜んでおられたが、それが黒田氏であり、この作品だったのだ。それが今日偶々下重さんから寒中見舞いの便りを受け取った。「この一句-108人の俳人たち」を3月に大和書房から出されるとか。
かつてのヌーヴェル・ヴァーグ監督・大島渚氏が一昨日亡くなられた。個性的な監督で、特に「愛のコリーダ」「日本の夜と霧」「戦場のメリークリスマス」などの話題作を次々と製作し、世界的にも注目された。中でも、「日本の夜と霧」は公開後、僅か4日で松竹が一方的に上映中止を決めたため、松竹を辞め自主映画会社を創立して話題となった。残念ながら私はどの大島作品も観ていないが、2度までも倒れながら、小山明子夫人に支えられてカムバックした存在感のある実力派監督だった。序ながら、大島監督の子息・武氏は湘南高の25年後輩に当る。
いま午後10時となったが、臨時ニュースとしてロイターとアルジャジーラが伝えたところによると、アルジェリア軍が石油施設へ強行突破して、アルジェリアの人質の内日本人2人を含む25人が解放されたとの緊急ニュースが入った。まもなく官房長官記者会見が開かれるようだ。大分情報が錯綜しているようだが、事実であることを祈りたい。
ところが、10時半になってまた驚くような逆転ニュースが入ってきた。どうも輻輳して分り難いが、今度は人質35人が殺害されたとの情報が伝えられた。何が何やらさっぱり分らない。一瞬先は闇である。まさに「日本の夜と霧」となってしまった。