アルジェリアの人質事件は解決したのか、そうでないのかとんと分らない。アルジェリア軍特殊部隊の襲撃により作戦終了となり、事件現場ではすでに静かな雰囲気のようである。しかし、武装集団がまだ施設内に隠れていて爆破を仕掛けるかも知れず、外部からは思うように近づけないようである。
今朝の日経紙一面トップ記事見出しには「『人質23人死亡』発表」とあり、朝日にも「人質死亡23人確認」とある。
それにしても情報の錯綜と混乱は相当ひどいものである。関係緒国のコメントもバラバラである。日本人の安否不明者が依然として10名と伝えられたままである。今回の事件は、解決方法、アルジェリアの独立の歴史とアルジェリア人の国民性、他国の介入阻止、人命より重要施設優先等々、極めて異質な事件である。
識者の間でもアルジェリア政府はなぜ時間を置かず一気に突撃してテロリストを制圧したのか、疑問を呈する専門家が多い。その反面イギリスやフランスでは、アルジェリア政府の行動に心情的に理解を示す国もある。特にフランスはかつての植民地だったために、一部のアルジェリア人から恨みを買っており、本音かどうかは別にしてアルジェリア政府の判断を理解しているとの声明を出しているくらいである。やはり、人命第一を主張してたっぷり時間をかけようとするわが国の情緒的なやり方とは自ずから異なるようだ。それが、日本政府が正確な情報を得られず、いらいらして不満感の表れとなる。
今度の事件で、改めて情緒的な日本とは違うアルジェリアという国の特異な異質性を知った人も多いのではないだろうか。
現地へ日本政府からは城内実・外務政務官、日揮㈱からは川名浩一社長が現地へ赴いたが、現在まで日本人不明者10名の生存は依然としてはっきりせず、極めて悲観的である。
さて、今朝の日経最終頁の文化欄にちょっとした知り合いの阿部毅一郎さんが、「東大の『闘魂』は不滅」というエッセイを書いている。まったく知らなかったが、東大の応援歌「闘魂は」を作詞したと、そのいきさつを綴っているのである。60年安保闘争にも触れている。高校時代の友人である牧野力くん(元通産事務次官)と東大の同期生で、麻生渡・前福岡県知事らとともに当時の通産省に同期入省した。偶々初めて会った時に牧野くんと同級生だったことから、言葉を交わすようになった。東大には校歌はなく、応援歌も「ただ一つ」だと思っていたところ、学内で応援歌歌詞を募集したので応募して採用されたというあらすじが書かれていた。
「ただ一つ」は私の好きな応援歌のひとつである。しかし、身近にこんな形で別の応援歌を書いた人がいたとは、まさに青天の霹靂である。図らずも思いがけない事実を知った。阿部さんは奥様ともども良く海外を旅行している。今度お会いしたら、また話す話題が増えた。