昨晩小野寺五典・防衛相が突然のように公海上で中国フリゲート艦が海上自衛隊の護衛艦とヘリコプターに対して火器管制レーダーを照射したことを明らかにした。先月19日と30日のことである。伏せられたが、これ以外にも同様のケースがあったようだ。軍事衝突につながりかねないと政府は中国政府に強く抗議した。
尖閣諸島領有問題で日中間に緊迫した空気が高まっている折から、日中両国間に警戒感が強まってはいた。だが、このように一触即発の事態を敢えて仕掛けた中国の意図はどこにあるのか。専門家の見方の中には、尖閣諸島近海で不穏な動きを見せている中国海軍が、日本の出方を探ろうとしたのではないかという声がある。これまでとは明らかに違う段階に入ったと見ている軍事評論家も多い。
専門的なことはよく分からないが、この火器管制レーダーの照射というのは、艦艇や航空機から砲弾やミサイルを発射する直前に、目標の位置や速度をつかむために使用されるものだという。完全に敵対行為であるという。実際、イラク戦争開始時に最初にアメリカ軍がイラクを空爆したのは、イラクからこれと同じようにレーダー攻撃されたからであるという。そういう点では中国のレーダー攻撃は宣戦布告と受け取られても弁解の余地がない。危機一髪の事態に対して、仮にわが国がこれに対して迎撃したら、中国のことであるから日本が先制攻撃を仕掛けたと一方的に国際社会に宣伝し、正義は我にありと言わんばかりに臨戦態勢に入ることであろう。
石破茂・自民党幹事長は、中国の誘いに乗らないように日本からこれを迎え撃つことはしないで冷静な対応をすると述べた。アメリカ国務省のヌーランド報道官は中国の行為を厳しく非難している。
それにしても、いつも日本の厳重な抗議に対して間髪を入れずに反論する中国政府が、今度ばかりはまったく音なしの構えである。漸く夕刻になって華花蛍・中国外務省報道官が語ったのは、日本側の報道で初めて知ったくらいで分らないから関係部署に聞いてほしいという、国としての責任を放棄した公式回答としてはあまりにもお粗末な声明である。中国政府はきちんと回答すべきではないか。そして、今後2度とこのような他国を欺くような行為を行わないよう約束すべきではないだろうか。共産党系人民日報系のウエブサイトでは、盗人猛々しいというべきか、日本が責任を押しつけてきたもので、自作自演とまで述べて中国には一切責任がないと言わんばかりである。お話にならない。
先月山口那津男・公明党代表が訪中して習近平・総書記と会談した際、日中両国の関係改善のためにお互いに努力しようと申し合わせたばかりである。対応を見ている限り習近平も当てにならない。今回の中国海軍フリゲート艦の暴発は、中国共産党首脳部の意向なのか、或いは中国海軍の暴走なのか、現時点では不透明である。中国内部で好戦派と自重派が対立している隙に、好戦派に勇み足があったのではないか。何とも恐ろしい事態である。
中国からは汚染された空気を受け入れさせられ、今また砲弾をぶっ放されそうな雲行きである。どうしたら、このわからずやの偽大国を諌めることができるだろうか。これほど他人のことを考えることなく、マイペースで他人に迷惑をかけて好き放題をやっている国も珍しい。周囲の国から嫌がられているのが分らないのだろうか。困ったお隣さんである。
中国の嫌なニュースにうんざりしている中で、景気のいい話としては、今日の株式市場で日経平均株価が対前日比416円高となり、4年4ヶ月ぶりに11,463円となって、外為相場も一時1$=94円台となったことである。