デフレ脱却を目指してアベノミクスが経済界から歓迎されている。安倍首相の人気もぐんぐん上がっている。しかし、円安によって輸出企業はウハウハのようだが、輸入に頼る業界は逆に苦しくなるので、国民として必ずしも手放しで喜ぶわけにはいかない。海外、特にドイツ辺りからはアベノミクスは日本政府の円安誘導と批判され、先のG20で非難の矢面に立たされるかと思いきや、幸い名指しによる非難はなく、「デフレ脱却を狙う金融政策の結果としての円安は認められた」とほっと胸を撫で下ろしたところだ。
ただ、経済界が活況を取り戻すとなると、今のところ原発再稼動について鳴りを潜めている経済界から再稼動問題がまた表出しそうである。ところが、今日開かれた原子力規制委員会は、評価会合で「東北電力にある青森県東通原発の敷地内の断層は活断層の可能性が高い」とする報告書案を示した。これにより現時点で停められている東通原発が長期化する可能性が強まってきた。経済界にとっては難問であり、試金石でもある。
その判断に当っては、当然今朝の朝日新聞の「原発」に関する同社世論調査の結果も参考にすべきであろう。先日安倍首相は民主党政権の「2030年代に原発稼動ゼロ」政策を、「ゼロベースで見直す」と表明した。だが、朝日の世論調査の回答では、条件の有無に拘わらず「原発停止賛成」と応えた人が7割を超えていたのである。間もなく東日本大震災2周年を迎えるが、これまでのところ復旧はとても順調と言えるものではない。この環境下で経済界の声である原発再稼動賛成、或いはアンケートにある反対70%超の声をどう集約して、国の政策としてどんな方向性を示すのか。いつまでも「しっかり考えて答を出す」などと悠長なことを言わずに、そろそろ方向性ぐらいは指し示すべき時期に来ているのではないだろうか。