2122.2013年3月5日(火) 安倍首相の自信たっぷりの言動には何が?

 昨日発売された「週刊ポスト」(3月15日号)に「安倍晋三はもしかしたら『大政治家』なのか!?」との見出しでふざけた特集記事が掲載されている。面白そうなので、早速購入して読んでみた。「全人像研究」というテーマだが、真正面から人物を徹底的に解剖したものではなく、そこは「週刊ポスト」らしく、少々茶化して「好きか嫌いか正しいか間違っているかは別にして・・・やることなすことハマリまくっているが」と皮肉っぽく書かれている。

 確かに最近の安倍首相の言動を見ていると、自分が考えた筋書き以上にコトが順調に運び、大いに悦に入り想像以上の結果に大満足の体である。

 数日前衆議院予算委員会で、日米合意の成果について玄葉光一郎・前外相がそのお膳立ては民主党政権時代に組み立てたものであり、安倍政権になってから成果が出たと自慢するのはおかしいとの質問に対して、安倍首相が政治は結果であり、結果を出した者に対して自分たちでもできたと言うのなら、なぜ民主党政権がやらなかったのかと巧みに切り替えしていたのは、中々見事だったと思う。お坊ちゃまも成長したものである。

 また、2020年のオリンピック開催都市として立候補している、東京オリンピック会場の視察に来たIOC視察団に対するプレゼンテーションに際して、冒頭ユーモア溢れる日本語の歌謡を口走りながら英語でスピーチをこなしていたが、こんな余裕のある芸当はかつての安倍首相には考えられなかった。いずれも自信に満ち溢れているように感じた。

 省みるに、6年前中途半端で政権を投げ出したころの自信のなさそうな様相とは一変している。昨秋の自民党総裁選に名乗りを上げたころは、まだ顔色も冴えず頼りなく見えたが、それがライバル・石破茂幹事長に逆転勝ちするや、俄かに自信を取り戻したかのようである。

 ポスト誌によれば、前回総理時に苦しんだ点を反省したこと、世間知らずを悟りドブ板選も辞さぬ行動、ブレーンのスカウトに加えて、民主党の行き詰った政権運営、石破氏タニマチのスキャンダル等々も幸いしたようだ。

 だが、先の総選挙で言及を避けた原発再稼動について前向きな姿勢を示したことや、普天間基地移転を進めると語ったこと、TPPの対応、議員定数削減、議員の世襲制度については国民の間には大いに懐疑が生じている。今のところ経済再生のためのアベノミクス、3本の矢が市場に好影響を与えて安倍政権への支持率は70%を超える人気ぶりだが、果たしてこのまま順調に歩んでいけるのか。正念場は安倍政権誕生のご祝儀が過ぎた4月ごろにやって来るのではないかと考えている。

 さて、今日から中国では全国人民代表大会(全人代)が開幕した。これまでの胡錦濤・国家主席に代り、習近平・共産党総書記が、恩家宝・首相の後任に李克強副首相が就任することになった。胡主席と恩首相は今日で引退する。経済成長の伸びに比例して、国防費は増える一方で過去10年間で4倍に、過去3年間は連続2桁の伸びで、今年度は11兆1千億円に上る。

 これに併せて恩首相の活動報告には海洋の総合的管理を強化し、国家の海洋権益を守ると述べられている。好戦的で益々覇権国家への道を歩んでいる印象がしてならない。報道官に就任した傳外務次官は、日本との対立について「贈り物をもらったらお返ししなければ失礼だ」と外国との友好を心がけるべき外交官が、こんな嫌味なコメントをよくも対外的に言うものだと呆れると同時に、中国人の反日的な愛国主義にはうんざりする。

 今日の朝日夕刊「終わりと始まり」欄に作家・池澤夏樹氏が、気がついたら戦争というものが随分近くにぬっと立っていたと身に迫ってきた戦争の恐怖について寄稿している。

 何とも嫌な時代になったものである。

2013年3月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com