2125.2013年3月8日(金) 現今の衆議院議員総選挙は憲法違反

 一昨日、昨日と2日続けて「一票の格差」に対する訴訟で、昨年12月に行われた衆議院総選挙が憲法違反であるとの判決が言い渡された。これは大ごとだと思う。これまで裁判所から明確に「憲法違反」と決めつけられた事例は思い当たらない。現在各地の高裁へ提訴中の訴訟で、これからも同じような判決が下されるのではないかと思う。

 一昨日、昨年12月の衆議院議員総選挙について「一票の格差」が最大で2.43倍になったのは平等であるべきとする憲法に違反すると弁護士グループが総選挙は無効であると訴えたのに対して、東京高裁が「総選挙は憲法違反」と判断したのである。

 2011年3月には、最高裁がすでに2009年の総選挙は「違憲状態」と判断していた。今度はさらに一歩踏み込んで「違憲状態」ではなく、「憲法違反」と明確に断定したのである。

 一方で、国会は昨年11月衆議院解散当日に「0増5減」の定数是正を決めた。姑息にもこれにより格差は2倍未満になり、憲法違反とは見做されないだろうと甘く考えたのである。然るに作業が間に合わないとの理由で、昨年の総選挙は09年の「違憲状態」のまま実施されることになった。これこそ国会議員の怠惰を象徴する典型的な例である。

 東京高裁は事前に「提訴から100日以内に判決を出すよう努力する」と言っていたが、提訴後僅か79日のうちにスピード判決を出した。これは国会が作業は間に合わないと言って、改正に動こうとしなかった立法の怠慢に対する怒りの意思表示だったのではないか。

 そして、昨日は札幌高裁も昨年の総選挙について「投票価値の平等に反する状態で、合理的期間内に是正もされなかった」として、東京高裁判決に続いて総選挙を違憲とする判決を言い渡した。この判決では、「0増5減」のような一時しのぎの改定では根本的な解決にはつながらないとして、国会議員がもっと事態を解決するためにもっと知恵を絞り、積極的に解決に向けて動くよう求めているのではないかと考えている。

 ともかく国会議員定数是正問題は、国会議員自らが私利私欲を捨て真剣に考え解決すべき問題である。残念ながら違憲状態と断定されてから今日まで、国会議員が問題解決のために建設的な行動を起こしたとは仄聞していない。自らの頭のハエを追い払えずして、どうして国民にまとわりつくハエを追い払えるのか。

 いつも反省することができない国会議員族が、自らは憲法を犯しておらず、無能でも非力でも怠け者でもないと自認するなら、率先して選挙制度の改革へ向けて立ち上がり、今こそ国民に範を示すべき時ではないだろうか。

2013年3月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com