明後日4月1日から「改正高年齢者雇用安定法(高齢法)」が施行されるとはうっかりしていた。今朝の新聞を読むまで意識することもなく気がつかなかった。年金を受給できる65歳まで働きたい人全員が働けるよう企業に義務づける法律である。
2008年11月に韓国・東海岸の束草市で開催された「国際老人福利交流文化祭」のシンポジウムで日本から唯一人パネリストとして招かれ、スピーチをし、韓国、中国、アメリカの学者とともに討論に参加した。私のスピーチは「定年退職者の日本の現状とこれからの高齢者の生き方」と題するものでアカデミックではあるが、やや堅苦しいテーマだった。その時2013年から高齢法が施行されると話をしたが、私自身すっかり失念していた。今その時のパワーポイントのスライドを見てみると、確かに2013年までに高齢法がスタートすると書かれている。実は、その時自分で原案を作成していながら、すでにこの法律は施行されていると誤解して意識しないまま明後日の法施行まで来てしまったのだ。
端的に言えば、年金の65歳受給開始年齢に、現状の60歳定年では5年間の無収入期間があり、その間どうやって定年退職者の生活を支援するのかということが、法案の原点である。もちろんそれぞれ企業から退職金をもらってそれを一時しのぎの生活費に注ぎ込むだろう。だが、退職金は会社によって支給されないところもあり、千差万別である。そのことが高齢法によって年金を受け取れる年齢に達するまで企業に雇ってもらい生活を支えてもらおうという発想となっている。問題は定年後に支給される給与は当然減額されるであろうから、実際にどの程度生活を支えるのに役立つのか、ということになる。しかし、それでも5年間を何とか凌ぐことができれば、アルバイトなんかよりは余程助けになるのではないか。
シンポジウムに出かける前に、大日本印刷の役員だった、ゼミの友人・池田博充くんに同社の資料を参考にいただき、実例としてそれを会場のシンポジウム参加者である約300人の韓国人、中国人、数人のアメリカ人に分りやすく説明したつもりである。好待遇の同社では60歳の定年後5年間に亘って定年直前の給与の60%が支給されるという話が、その時受講者に驚きを以って受け取られたものだ。
明後日からその高齢法が正式に施行されると知り、有意義だった韓国におけるシンポジウムを思うと感慨無量である。