先日慶応塾員招待会でともに行動した滞日中の山崎洋さんに、小中陽太郎さんと私の3人で小中さんお薦めの東新宿の居酒屋「大小原」で食事をした。小中さんが今執筆中の「ゾルゲ少年探偵団」のストーリーの確認を山崎さんに願っていたからである。小中さんの作品は、いただいた原稿の一部を拝見するとフィクションとノンフィクションが混じり合わさって、中々興味深いストーリーになりそうだ。清川虹子なんて昔の女優さんの名前が出てきたが、「清河」となっていたので、質問するとこれで良いのだという。かと思うと「新徴組清河八郎」となっていたが、これは明らかに「新選組清河八郎」であろう。ところが、小中さんに言わせるとこれもこれで良いのだという。
小中さんは、ゾルゲの仲間であるブランコ・ヴーケリッチ氏の遺児である山崎さんに原稿のチェックを頼んで了解を得たようだが、「プロテスタントの土地デンマークでは父無し子を産んでは生きてはいけない。あとで離婚してもいいからいったんは籍に入れてと泣きつかれて結婚した。というのは淑子(山崎さんの実母)の言い分だからわからない」とか、「ゾルゲも尾崎もヴーケリッチも女性遍歴の中で、みなはるかに年上の女と結婚している」と書いて母親の結婚の事実まで山崎さんに確認している。半製品の一部に目を通しただけだが、フィクションが混じっているとは言え、こういうドキュメンタリー風の書き方もあるのかと少々考えさせられた。
それでも内容は興味津々な作品に仕上がりそうで充分楽しめそうだ。
山崎さんと別れた帰りに小中さんの知っている自由が丘駅近くのバーに立ち寄りほんのひとときを過ごしたが、そこで洒落たご夫婦にお会いした。小中さんのことをよく知っているのには驚いだ。ご年配の割に一昔前のキューバのラテン音楽が好きだと仰ったご夫婦には、8月にキューバ旅行を考えていると話して大いに話が弾んだ。それにしても小中さんは実にお顔が広い。