2181.2013年5月3日(金) 憲法記念日に憲法改正問題を考える。

 今年のゴールデン・ウィーク後半初日の今日は憲法記念日である。最近になって例年になく改憲論議が喧しい。特に今年改憲論議が目立つのは、自民党内に安倍政権の右翼志向に沿って憲法改正へ布石を打ちたいとの願望が強いからである。しかし、憲法改正を唱える以上、憲法がわが国にとって最も重要な法律であり、国民的に広い分野から正々堂々意見を開陳してもらって議論を戦わせ、立法精神を損ねることなく改正論に挑んでもらいたい。

 世論調査や各種のアンケート調査を見ても、確かに近年現行憲法を改正するべきだとの声が漸進的に高まっていることは事実のようだ。

 だが、そこには2つの問題があると思う。ひとつは、改正への道筋として、正面から憲法改正に向き合い、その中身の改定を議論するのではなく、その入り口で憲法改正のために、96条で定められている国会議員の2/3以上の賛成が必要とされている法令を、何と1/2以上で佳しとする法令に変えて、姑息にもそのお墨付きを得た段階で、中身の改正を都合の良いようにやろうという腹積もりのように感じ取れることである。ざっくり言えば、国民投票も国会議員投票もその1/2以上で憲法を改正できるようにしてしまおうというのである。

 もうひとつ問題なのは、戦後昭和22年に憲法が公布されてから、事情が少しずつ変わって軍隊を放棄した筈であるにも関わらず、自衛隊と名づけた軍隊が存在することと、最高裁から憲法違反と決め付けられた衆議院選挙区制度について、国民の間でこれら憲法違反について糾弾しようとの声がほとんど盛り上がらないことである。それは現状では国民が憲法を身近な問題として考えることもなく、憲法自体が遠い存在となってしまったからだと思う。

 以上のように国民の間で憲法改正への世論が盛り上がってきたわけではなく、一部の国会議員らがアベノミクスに伴う経済好況を足がかりに一気に「軍事国家」「私利抑制・公利優先」「表現の自由抑制」等々をファッショ的にやってしまおうと考えているのではないか。この勢いには流石に良識的な右翼でさえ、腰を引いているような状態である。

 これらの右翼急進的な動きが生まれてきた背景には、そのきっかけとして尖閣諸島問題や靖国神社参拝反対など中国による反日的行動があることは間違いない。しかし、自国の憲法はあくまで自国民が他国とは無関係に独自に議論し制定すべき問題である。その点で、現在のこじれた日中関係と芽を吹き出した右翼的言動は、極めて危険であり、新たな火種を灯しかねない。それを考えれば、政府がその流れに乗って自分たちの都合だけで改正論議を行うのではなく、国民の総意を受け入れ、「万機公論に決すべし」との考えに拠るべきではないだろうか。

2013年5月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com