トラック島旅行でバタバタして、今日3週間ぶりに駒沢大公開講座に出席した。
冒頭20年前の今日はどんな日だったか覚えていますかというのが、菱山郁朗講師の問いだった。ところが20年前に何があったのか、とんと思い出せない。
答は1993年の今日、6月18日、衆議院で宮沢内閣不信任案が可決され、宮沢喜一首相は衆議院を解散したのである。55年以来安定政権を維持していた自民党は、この解散により派閥抗争による内紛が表面化して分裂し、自民党政権に取って代わって細川連立政権が誕生した。細川新内閣はそれまでの中選挙区制度を廃止して小選挙区比例代表並立制を導入する公職選挙法改正を提出し、可決成立したのである。
つまり20年前の今日、現在の小選挙区制がスタート地点に立ったのである。今小選挙区制について賛否両論が喧しく語られている。しかし、それらは残念ながらいずれも党利党略ばかりが絡んで、決して建設的な意見ではない。
小選挙区制度の導入によって政権交代が容易にできるというのが一番説得力のある言葉であるが、ふわふわした人気だけに支えられて政権を握ったところで、必ずしも政権政党たるに相応しい力が備わっているわけではない。その後の政党のあり方を見てみても、反って政治が劣化しているのではないかという気さえしている。現実には政治家が自分たちで一旦決めたことや、約束事を守れないというのがあまりにも悲しい実態である。
約束を守らない政治家が増えたことは間違いない。例えば、自民党では一度は世襲議員制度について抑制し、国民から批判を受けない範囲内で世襲制とは受け取られない選挙区の鞍替えを検討したが、それもいつの間にやら撤回して、堂々と息子が父親の現職地盤を世襲したり、小泉首相時代に70歳の定年制を敷き、抵抗を受けながらも実行してきたにも関わらず、7月の参議院選挙では元の木阿弥でオーバー70歳の候補者が党の公認を受ける有様である。
そんな卑近なことはともかくとして、少々自分たちにとって不都合だと知るや、いとも簡単に小選挙区制度の悪い点ばかりを挙げて、20年前に自分たちが決めた公職選挙法を再び元の中選挙区制度に戻そうと考えるいびつな頭の構造が問題である。
所詮小選挙区制度か、中選挙区制度かの本質的な議論より、自分たちにとって都合の良い選挙制度はどちらかという打算だけで議論しているように思えて仕方がない。やはり政治は間違いなく劣化している。