2229.2013年6月20日(木) 新原子力規制基準を決め原発再稼動へ邁進か。

 自民党が7月の参議院選公約で原発再稼動を約束し、政府が原発再稼動へ前向きの姿勢を見せる中で、原子力規制委員会は原発の新しい規制基準を正式に決めた。規制委員会は、福島第一原発事故を踏まえて過酷な事故、地震や津波、航空機テロなどの対策を大幅に強化したと言っている。世界で最高の厳しい安全規制だそうである。だが、本当にこの規制基準の下に、仮に審査をパスして再稼動して大丈夫なのか、依然として大きな不安が拭えない。

 まず、地震に対してアメリカの原発では、過去10万年間に起きた最大級の地震にも耐えうる耐震性だとしているのに対して、この規制基準では過去に発生したどの程度の地震に耐えられるのかの明確な答が示されていない。

 更に、航空機テロ対策に触れている点はあるが、それ以外のテロ侵入対策がなおざりにされている点が気にかかる。例えば、今日のテレビ朝日「報道ステーション」でアメリカ・テネシー州のセコイア原発を紹介していたが、外部侵入者に対して私設警備隊を配置して警備に当たらせたり、アメリカ原子力規制委員会から検査官の派遣を受け入れて常時抜き打ち検査を行って万全を期している。それに比べれば日本の規制基準はまだ甘いと言わざるを得ない。

 結局何だかんだと言っても、機械類が故障を起こさないとは保証できない。これまでわれわれ原子力知識に疎かった国民は、政府の言う「安全」「清潔」「経済的」な原子力エネルギーの開発と利用を政府の言うまま黙って受け入れてきた。しかし、福島事故後今や原発は「危険」「汚染」「高価」なエネルギー源であることが明らかになり、加えて「使用済み核燃料」という「核のゴミ」という厄介者を産み出し、それを処理できないまま次の時代へ負の遺産として積み残そうとしている。

 しかも野田前政権が脱原発への道しるべを示したのに、それを安倍政権は握りつぶして原発再稼動への道を歩もうとし、恥らいもなく原発建設を海外へ売り込もうとまでしている。

 これほど危険な原発を廃炉にしようにも30年近くの年月と莫大な資金が求められるものを、なぜ現時点ですぐ廃止しようという考えに向かわないのだろうか。現代人の頭が狂ってしまったとしか考えられない。

 原発の利便性に慣れてしまった人々の声を受け、同時に政府の原発再稼動路線に便乗して、電力会社4社が早速再稼動を申請する構えを見せている。彼らにとっては経営上死活問題だろうが、事故発生によって被害を蒙ると予想される数多くの被災者にとってはそれどころか、実際の生死に関わる問題である。電力会社は事故発生に対して、どのような事故対応を行うのか、またその場合どう責任を取ろうとするのかを前もって提示することが、事業を行う企業の責務であると考えるが、いかがなものだろうか。

2013年6月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com