2259.2013年7月20日(土) 目の前の問題から逃げようとする政治

 昨日大きく報道されたデトロイト市の財政破綻は、アメリカ社会に大きな陰を投げかけている。2009年に一旦破綻した、デトロイトの象徴だった自動車産業の雄・ゼネラル・モーターズ社(GM)が税制優遇を受けて立ち直ったが、それがデトロイト市にとっては税収の減少につながり、GMだけが陽の目を見ることになった。息を吹き返したGMがやったことは余裕のできた資金を、税制優遇を受けたデトロイト市へ納入するのではなく、発展途上国の工場用地の買収に投資する恩知らずの返礼である。

 市民は郊外に脱出して町は寂れ、失業者は増加し、治安は悪化の一途だそうである。特に人口減少の主要因として裕福な白人が市内から逃げ出し、それが市の税収を減らした一因にもなっている。残ったのはアフリカ系住民ばかりで白人と黒人の住民比率が逆転する有様である。

 日本でも財政再建が謳われているが、政治家には解消へ向けて一向に動き出す気配がない。明日は参議院議員選挙の投票日であるが、各党代表者から「財政再建」の言葉は一切聞かれない。まだ、それが自分たちのこととは思っていないようだ。否、喫緊の課題から逃げているのだ。

 さて、参議院選挙だが、候補者は現場で有権者に訴えることに余念がない。実際立候補者事務所から何枚かの投票依頼葉書が送られてくるし、勧誘の電話がかかってくる状態である。しかし、今回は昨年12月の衆議院総選挙に比べてほとんど論争がない。与党の自民党が、政権交代したこの半年間の実績を誇らしげに訴えているだけである。それは、経済の回復である。それだって評価は大いに異なる。にも関わらず今一番肝心な原発問題やエネルギー問題は絶対反対を唱えている共産党や社民党、みどりの風以外は、口を濁して逃げまわっている。選挙制度の改革や、憲法改正、特に96条の改正についても議論を避けようとしてお茶を濁している。結局今最も大事な問題から政治は逃げているだけなのだ。自民党は原発で逃げ、沖縄の米軍基地問題で逃げ、TPPでも煮え切らない。

 参議院選挙の結果は自民党の圧勝ではないかとほとんどのメディアが予想しているが、これから自民と公明の連立内閣ははっきり公約したことと、逃げ切っていた問題について真剣に解決へ向けて前進する気持ちがあるのかどうか。明日以降の与党の動きから目を離してはならないと思う。

2013年7月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com