6080.2024年4月14日(日) マルサス「人口論」は今や非現実的?

 今朝のホットニュースで、イランがミサイルと無人機によりイスラエルの占領下にあるシリア領のゴラン高原を攻撃したと伝えた。「やっぱり!」というのが、一般的な受け止め方である。これは去る1日にシリアのイラン大使館がイスラエル空軍の攻撃を受け、革命防衛隊の司令官が殺害されたことへの報復と見られている。まだ被害状況は正確には分かっていないが、イスラエル側も報復を予測していたと見られ、迎撃してかなりのイランのミサイルや無人機を射落とした。イスラエル軍も仕返し攻撃を行うことだろう。ガザ地区の戦火は、また拡大する不安がある。こうして地球上には、あちらこちらで戦争が勃発し、人々は安心して寝ていられない恐怖の世界となりつつある。

 この戦火が中東だけに留まるばかりではなく、南シナ海洋上では、このところ中国の国際法無視による海外進出が勢いを増し、洋上における中国監視船とフィリピン漁船の諍いが、周辺を巻き込む危険な兆候が見える。そんな時に訪米中の岸田首相が、バイデン大統領とフィリピンのマルコス大統領との3首脳会談で、中国の動向を踏まえて3か国の海上保安機関による合同訓練を行うなど、海洋の安全保障協力を強化していくことで考えが一致した。

 このことは、とりも直さず近い将来において日本の自衛隊が、フィリピン海域でフィリピン軍と合同訓練を実施し、仮に中国軍と一触即発の危険ゾーンに足を踏み入れることになる。自衛隊の存在自体が現行憲法上違反であり、自衛隊の海外派遣に至っては、間違いなく憲法に違反することになる。3人の首脳会談の一致は、日本憲法に違反し戦争への道を切り開くことになると言っても好い。

 一昨日ワシントンのホワイトハウスで行われた岸田首相を招いた歓迎夕食会や、両院議会堂で岸田首相が行った英語によるスピーチは、アメリカでは大分高く評価されたようであるが、そのスピーチの内容は、アメリカとともに緊密に連携して中国に向き合うとの姿勢を示したことから、中国は強く反発している。日本にとっても戦争の危険が増すことであり、アメリカの期待通り納得して受け入れることは出来ない。怖い時代に入ったものである。

 さて、総務省が12日に発表した昨年10月現在の「人口推計」によると、日本の人口は1億2,435万人で前年より約60万人減少した。13年連続で人口が減ったことになる。心配されているのは、少子高齢化が進む中で75歳以上の人口が初めて2千万人を超え、日本人の6人にひとりが高齢者になったことである。更に一人暮らしの高齢者が全国に670万人もいることである。日本は少子高齢化社会に益々拍車がかかっている。

 このまま人口減少と高齢化現象が続けば、高齢者への社会福祉費用が若者に負担がかかることになる。国も異次元の少子化対策を掲げてはいるが、これという実行力が期待できる施策がよく見えない。メディアともども一体となって国民の協力を得られるような実行力の伴うプロジェクトを確実に進める必要がある。

 更に、もうひとつ気がかりなのは、都道県別人口増減率で、目立つのは東京都が2年連続で僅かに増えた程度で、他の46道府県は軒並み減っている。沖縄も日本へ復帰してから初めて減少となった。東京への人口一極集中が加速するとともに、東北、北陸、山陰、四国など地方の過疎化が懸念される。

 マルサスは「人口論」の中で、「人口は、なんの抑制もなければ等比級数的に増加する。生活物資は等差級数的にしか増加しない」と書いて食料の供給について心配しているが、今日人口には何の抑制もないにも拘らず、それが増加しない。今やマルサス人口論は実態とはかけ離れ、現実的ではなくなった。

2024年4月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com