広島に原爆が投下されてから68年になる。毎年恒例で安倍首相も式典に参列され、「我々には確実に、核兵器のない世界を実現していく責務がある」と表明した。しかし、その決意にはどれほどの真剣味があるのか。その目の前で広島市の松井一実市長が、日本政府に対して厳しく非難する平和宣言スピーチを行った。どうも市長のスピーチの方がアピールしたようだ。市長のスピーチには何か思惑があるのではないかと思っていたところ、夕刊にその理由が説明されていた。
市長は核兵器を非人道兵器の極みであり、「絶対悪」として廃絶を訴え、国際社会との連携を求めた。これには、それなりの背景と狙いがあった。4月にジュネーブで開かれた核不拡散条約(NPT)再検討会議の準備委員会で、核兵器の非人道性を訴える共同声明に80カ国が賛同したにも拘わらず、賛同しなかった日本政府に対して連携を求めるよう婉曲に批判したのである。
さらに日本と、NPT非加盟のインドとの原子力協定交渉は、核兵器を廃絶する障害にもなりかねないとも批判した。
アメリカのルース駐日大使も3度目の出席だったが、昨日沖縄・宜野座村のキャンプ・ハンセン内の山中に訓練中のヘリコプターが墜落し、沖縄県民から強い不満と非難の声が上がっていたので当然である。当然のように沖縄県内では、米軍基地廃止、オスプレイ配備反対等々の問題が改めて大きく浮上している。いつも沖縄だけが、犠牲になっている。気の毒でならない。この事件で米軍の情報伝達が極めて秘密主義的で、日本側への連絡が後回しにされたことに憤りさえ憶える。
さて、平和祈念式典が開かれた20年前の今日、総理大臣に日本新党の細川代表が指名され、社会党の土井たか子氏が衆議院議長に指名された。政治家も随分様変わりしたものである。政治家は日頃より選挙運動にばかり入れあげ、勉強もせず、自慢話ばかりで何もせず、人間もスケールが小さくなるばかりである。これでは益々日本の将来が心配である。