昨日原子力災害対策本部が、東電福島第1原発で1日あたり約300㌧の地下水が放射能物質で汚染され、海に流出していると公表した。東電がこれまで発表してきた汚染水は、何とか処理できると国民にあまり心配をかけるような大量のボリュームではなかった。
しかし、実態はそんなに甘いものではなく、処理能力を遥かに超える量の地下水が流れ込み、汚染されて溢れた地下水が、海へ流れ込んだというからただ事ではない。
慌てた政府は東電による汚染水対策は破綻しているとして、国費を投入して対策に乗り出す方針を固めた。この後手後手の対応を見ていると、一昨年12月当時の民主党政府が福島第一原発事故収束を宣言したのは、一体どういうことなのか。
海外からもその後の福島原発の処理は懸念されているが、この事実が伝えられることによって海外諸国だって黙ってはいまい。原子力のノウハウや技術に関して最高水準にあると自負しているわが国の原子力関係者は、日本の技術力だけで解決できると過信していたことが今日の醜態につながっている。だが、それもこういう惨状をさらけ出すに至っては、放射能処理対策についてそろそろ海外の知恵を借りても良いのではないだろうか。
ついては投資される資金であるが、福島第1原発の汚染水対策に初めて税金が投入されることになる。政府はこれまで税金を投入することを極力避け、専ら東電自体が賠償、除染、廃炉の費用を支払う枠組みを認めてきた。しかし、このままではいつまで経っても収束は難しい。漸くここへ来て収束の見込みが立たない処理対策に、枠組みを壊すことをしても税金を投じる決断へ追い込まれた。
実際賠償と除染だけでも10兆円の費用が必要だと見込まれている。先の見通しの立たない、ぞっとするような事故処理である。
まだまだ東電が情報公開しない隠れ費用が出てくる心配もある。避難住民の帰還もままならず、収束は遠い道のりである。最早明確なことは、原発にはいつ襲われるか分らない自然災害の危険が付いて回ることである。もう止めなければ、日本国内に留まらず人類全体が滅びてしまう。
さて、また大物議員の失言である。溝手顕正・自民党参議院会長が自民党参議院新人議員勉強会で、「安倍晋三首相のように大変勢いのいい首相のもとだと、バカでもチョンでも当選するというような要素があることは否定できない」と述べたが、注意されたのか、すぐ撤回した。この人物も人間が軽薄なのか、安倍首相へのおべんちゃらなのか、すぐ取り消すくらいならどうして軽率に口から出したりするのだろうか。油断と天狗の然らしむところだろう。仕事はしない、常識もモラルもない、思考力もないのに間違った政治力?だけは見せたがる。これでは言いなりになる国民は堪ったものではない。こうなると議員の通信簿を国民が査定するシステムを構築して、一定の基準を下回ったら直ちに議員辞職してもらうようなことを考えた方が良いと思う。