6062.2024年3月27日(水) 読書をしない人とホラを吹く人が増えた。

 セルビアでヴァイオリニストとして活躍されている豊嶋めぐみさんから、一時帰国して名古屋で演奏会を行うと連絡があった。名古屋で聞くのは無理であるが、試演会という形で新宿の区民会館角筈ホールで演奏するということで、ゼミの友人赤松さんと約束して今日会場へ出かけた。同じ桐朋大学出身の親しいピアニストとの合奏で、サン・サーンスの♪序奏とロンド・カプリチオーソ♪とベートヴェンの♪ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調「春」作品24♪、そしてヴ―イッチ♪アヴェ・マリア♪を演奏されたが、素晴らしい演奏に心から惹き入れられた。明後日には名古屋へ行き、演奏会を終えてすぐセルビアへ帰られるという。そこで試演会を終えてから半蔵門にある赤松さんの良く知るフレンチ・レストラン「オープロヴァンソー」で、ランチをともにして会話を楽しんだ。レストランの雰囲気も洒落ていて、食事も美味しくつい会話が弾んでややおしゃべりが過ぎたかも知れない。

 最近本を読まない人や、手紙を書かない人が増えたことが問題視されていることを話し合ったが、実は昨日も中学の同級生と同じ話題を話し合った。大河小説を読んでストーリーの舞台を実際に訪れ現地を知ることが世界観を広げることにもなる。そんな話をしているうちに実際に現場を見なければ、本当のところはわからないものだという話になった。私の体験上からも現場を訪れることによって臨場感を通して覚った真の体感がいかに大事かということを話し合った。そこで数日前の朝日新聞で見た弁護士の旅行観が思い出された。実は朝日にも久しぶりに目立ちたがり屋のその弁護士さんがインタビューに応えていたのである。

 その弁護士さんのお名前は久保利英明氏である。最近テレビで見かけることが少なくなったが、かつて企業の総会屋対策で名を上げ、テレビにも度々派手な服装で登場した人である。当時からその派手な背広姿は人目を惹いていたが、昨日の新聞紙上に紹介された太い縦じま模様の背広姿の写真とインタビューを見て、相変わらず昔と変わっていない印象だった。今年80歳になろうとする弁護士で、旅好きと自ら語り旅行体験を披歴しているが、いくら旅好きとは言え、多忙であろう弁護士になってからこれまでに約170か国を訪問したというが、一概に信じられようか。外務省のデータによっても、現在国家として日本が承認しているのは、195か国である。世界の国の9割近くを訪れたとはちょっと信じかねる。それを弁護士業をこなしながらこれほど多くの国を訪れられるだろうか。弁護士が初めて海外へ出かけたのは1968年という。

 僭越であるが、因みに私自身はその2年前の1966年に初めて海外武者修行に出かけ、鉄道業から海外旅行業に代わって旅行を生業として度々海外へ出てからもかなり多くの国々を訪れたと思っているが、久保利弁護士に比べれば、その半分程度の94か国でしかない。弁護士のような忙しい生業で旅行とは直接関係のない仕事に就きながら、170か国も訪れることなんてどう考えても難しい。高名な弁護士さんのメンツを汚すようで僭越であると思いながら、実際に海外旅行に半世紀以上に亘って関わり、五大陸をすべて旅した実体験がそう思わせるのである。悪気はないと思うが、弁護士の「ホラ」のような気がしてならない。本を読まない人が増えた、手紙を書く人が減った、そしてホラを吹く人が増えたように思えてならない。朝日大新聞社が、そんなことまで見抜けず弁護士にヨイショをしたのだろうか。

2024年3月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com