6050.2024年3月15日(金) 法人税引き下げと消費税引き上げが裏金の遠因

 関西の大学でスポーツ法学を教えていた弁護士が、毎年講義が始まるに当たって学生たちに問いかける質問があったそうだ。「君らに1兆円あげるから毎日100万円ずつ使ってください。さて何年で使い切りますか?」との質問に学生のほとんどが答えられない。答えはおよそ3000年。縄文時代から毎日100万円を使っても使い切れない。それほど1兆円というお金は多額であるということを例に挙げて説明したかったようだ。私が大学経済学部に入学した1959年度の国の一般会計予算総額は、約1兆4千億円だった。それほど1兆円という金額は、富士の高嶺だった。

 2024年度の一般会計予算を見てみると、歳出は112兆717億円で、その内ほぼ1/3に当たる37兆7千億円が社会保障費で、防衛費が8兆円もある。歳出入の中でも同じ一般会計の中で借り貸しを行う国債費用を別にすれば、憲法に違反している防衛費が2番目に多い。歳入では驚いたことに最も多いのが消費税で歳入の21%を占める23兆8千億円である。次いで16%を占める所得税17兆9千億円、15.2%の法人税17兆円である。

 ここに今月5日田村智子・共産党委員長が、参議院予算委員会で岸田首相に裏金発生の原因について質問した理由が納得できる。それは企業や業界団体から政治家個人への献金は禁じられているにも拘わらず、政治資金パーティという抜け道を使えば、企業、団体から巨額の資金を集められ、それを裏金に出来からである。それが以下の内容と合致して裏金問題となった本質ではないかと問い詰めたことに納得が行く。

 というのは、政府、自公両党が企業からの献金に依存する以上財界の要求に応えなければならない。経団連が最優先で要求してきたのは、法人税率の引き下げと消費税増税である。実際これまでの税率の経緯を遡ってみると1985年には、法人税率は43.3%だった。それがみるみる下がり2020年以降は23.2%にまで引き下げられている。ほぼ半減である。経団連の望む通りである。一方消費税に関しては、1990年に導入した時は税率3%だったが、その後5%、8%、そして20年から10%へ引き上げられた。法人税率をこれほど大きく引き下げなければ、消費税なんて上げる必要はまったくなかった。これにより経済界は潤ったであろうが、消費税導入に伴う物価の上昇により庶民の暮らしは厳しくなった。そして経済界は、法人税率を引き下げてくれた政府与党に対して恩返しとして多額の献金を行うようになり、それが今裏金キックバック問題の闇となっている。

 昨日から続いている政治倫理審査会で、裏金問題の中心にいた派閥幹部は問われると「知らない」「分からない」「すでに決まっていた」「関わっていない」と同じ無責任な回答ばかりで、これでは政倫審を実施した意味がない。特に昨日の政倫審における世耕弘成・参議院前自民党幹事長の説明には、誰しも納得が行かず、同じく政倫審に出席した自民党の西田昌司議員ですら厳しく批判して、内部対立の様相を示した。こんな無様な状態を曝け出した自民党は、すでに当事者能力を失っているのではないだろうか。

2024年3月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com