6051.2024年3月16日(土) 春闘の高い賃上げと北陸新幹線開業

 法人税が低率のため企業の利益が膨らんでいるのか、大手企業が今春闘で随分景気の良い賃上げを提示した。正社員の賃上げ率が平均5.28%で、1933年以来33年ぶりに5%を超えた。驚いたのは、この過程で各社が公表した賃上げ額の中に満額回答や、満額を上回る回答があった企業が大分あったことである。

 連合が目標としていた5%以上を上回ったことに、芳野友子会長は得意満面で「この結果が今後、消費につながることを期待したい」と述べた。今気がかりなのは、この高水準の賃上げが、中小企業にまで普く影響が及ぶかということと、賃上げが物価上昇を上回り実質賃金が上がるのかという点である。それによっては現在日銀が11年もの長期間に亘り実施している金融緩和策を転換させることもあり得る。

 それにしても日本製鉄が平均賃上げ額を3万5千円、トヨタ自動車が2万8千円と回答したのには、度肝を抜かれた感じである。私は1963年入社してその時手にした初任給は1万8千円だったが、当時の新入社員2人分の給料に当たる金額を、日本製鉄の現役社員は昨年の給与の上に乗せてもらえるというのだから、時代の流れもあり貨幣価値も随分変わったが、懐具合は大分良くなったのではないかと思う。今の社員たちは、いただいた給料に見合う労働をきちんとやっているのだろう。

 ただ、こういう好景気の指標が示されたために、以前に比べて労働ストを決行する企業はほぼ影を潜めた。特に半世紀前は春闘というと鉄道会社や交通機関がストを決行し、通勤、通学の足に随分影響を与えていた。全般的に落ち着いた社会になってきたとは言えるのだろう。

 さて、今日JR北陸新幹線金沢~敦賀間が開通した。能登半島地震により北陸方面への観光客が減少しつつある中で、地元では大歓迎である。ただ、この路線は中々分かり難く、当初1997年に高崎~長野間が開通し、上野~高崎間は上越新幹線と同じ路線を走っていた。そして2015年に長野~金沢間が延長され、今日金沢~敦賀間が開通したことにより、上野から金沢経由で敦賀までつながった。この区間には加賀温泉と芦原温泉という有名な温泉場があり、地元では景気回復の梃子になると期待されている。

 しかしながら沿線から東京及び首都圏への交通は利便性が高まった反面、大阪方面は直通列車が消え、乗り換える必要がある不便から、今後関西方面の大学への受験生が、関東方面へ変わるケースが増えるのではないかと考えられている。当分大阪~敦賀間の新幹線建設工事は予定されていないという。敦賀駅では祝賀ムードが溢れ、一番列車の出発、到着時間前後はホームにも人がいっぱいの状態だった。

 敦賀と言えば、戦前は中国大陸との交通の出入り口で、ヨーロッパとの国際連絡鉄道の日本側の受け入れ港として街は未曽有の発展を遂げ、戦前にすでに「市」として一本立ちしていた。それが戦災に遭い戦後はあまり特徴のない都市として、発展からやや取り残されてしまった。今改めて北陸地方の街として再認識させるチャンスでもある。

 敦賀市民にとっては新幹線さまさまであろう。

2024年3月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com