6042.2024年3月7日(木) アメリカ人が日本人を見下す不条理な言動

 沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設予定地である辺野古の埋め立て工事を沖縄県が承認しないことから、政府は防衛省による代執行により、沖縄県民の反対を押し切って工事を強行しようと準備を進めている。日本政府は在日米軍の駐留、行動について、不平等な日米同盟の地位協定締結により、その運用については不平等で理不尽な協定内容を黙認している。

 例えば、米軍が駐留するヨーロッパ各国の対米軍地位協定と比ベてみるとよく分かる。ヨーロッパ各国は補足協定などで国内法を適用して米軍の活動を制御しているが、日本国内では米軍の行動に国内法が適用されない。米軍の言いなりである。日本国内で米軍が事故を起こしても日本側に捜査権は認められておらず、また、米軍人が国内の基地外で日本人に対して殺人事件を起こしても日本の警察には捜査権も逮捕権もない。

 実際在日米軍兵士が日本国内で罪を犯していながら、日本で正当な裁きを受けず、母国アメリカで英雄扱いされるような理不尽な事件が度々起きている。最近でも2021年5月米海軍横須賀基地所属だったアルコニス海軍大尉が静岡県富士宮市内で交通事故を起こし、85歳の女性とその義理の息子を死亡させた事例がある。同年10月に有罪を認めた大尉は、過失運転致死傷の罪で禁固3年の実刑判決を受けた。ところが、考えられないことだが、弁護側のアメリカ人医師がアルコニス受刑者は事故当時高山病を患っていたとの理由で日本に断りもなく、23年12月アメリカに移送された。今年1月にはアメリカの仮釈放委員会が大尉の全面的仮釈放を認め、即座に彼は釈放され、保護観察も付かないことになった。これについて、事もあろうにCNNの司会者が素晴らしいニュース速報として、アルコニス大尉と妻子の写真を添えてこの釈放のニュースを伝えた。大尉の妻など支持者が、大尉釈放のためにアメリカ政府に圧力をかける活動を行い、仮釈放処分を勝ち取ったものだ。

 特に理不尽と思えるのが、ユタ州のマイク・リー上院議員の行動で、アルコニス受刑者の釈放のために積極的に動き、彼が仮釈放された際には、傲慢にも意味不明の「日本はこの家族とアメリカに謝罪すべきだ」とSNSで発信した。大尉の起こした死亡事故とその経緯を知ったらこんな無礼な発言が出来るだろうか。アメリカの議会議員の品格と資質に疑問を感じる。

 このSNSを見た日本人は、「なぜあなたは祝っているのか」とか、「そもそも、彼とその家族は日本の被害者家族に謝罪したのか?」と怒りの声を上げた。日米両政府は事柄が拡がるのを避けるが如く、いずれも公式にコメントしていない。テンプル大学のブラウン教授は「日本の政治家や主要メディアがこの事件を大きく取り上げることはない。それをしたら日米関係のダメージをさらに悪化させる。日米の同盟関係は不公正だが、それでも日本の安全保障にとって不可欠であるとの認識が、日本国内には広まっている」と日本はアメリカの恩恵を受けているので、不公正な同盟は納得すべきだ、「アメリカがいなければ日本は成り立たず」と言わんばかりの傲慢なコメントを述べている。こうまで公に見下されても岸田首相ら政府関係者は黙っているだけなのだろうか。アルコニス事件は、この種の事件がもたらす不平等感が、アメリカで大統領が変わってもこのまま根強く残ることを伝えたことになる。いつまでも日本はアメリカの従属国であって良いのだろうか。

2024年3月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com