午後4時31分鹿児島で櫻島が突然噴火した。この30年来最大の規模だという。噴煙は5000m上空まで達した。鹿児島市内はまだ日没前であるにも拘らず、車はヘッドライトを点灯して走行している。
考えてみると、どうも天候だけではなく、全体的に異常を感じさせる最近の気象状況である。昨日から北海道南部にも大雨が降り、JR北海道の特急列車が立ち往生している有様である。東北地方ではここ数日来断続的に地震が発生している。再び大きな震災を予感させるような日本列島である。
さて、今晩もドキュメンタリー番組を観ていて考えさせられた。NHK「急増!新富裕層の実態」と題するドキュメントで、複雑な気持ちがした。端的に言えば、稼いだお金を税金に取られたくないので、にわか成金どもが税金の安い国へ脱出するストーリーだ。納税者としては古今東西同じ心理だと思うが、あまり納得できる話だとは思えない。
高額納税者には多額の税金をかけるのは、どこの国も同じ考え方だが、高額納税者の心理につけ込んで少しでも税金の負担から逃れようとする成金どもに甘い言葉で誘って、彼らを自国へ呼び込むような税制を考える国がある。タックス・へーブンと呼ばれる国々である。
その中でプエルト・リコの場合、株式売買益には無税で、法人税も5%程度の低率で勧誘する。プエルト・リコのように貧しい国にとってはそれでも大いなる税収というのだろうが、高額納税者に逃げられるアメリカなど富裕国にとっては耐え難いことだろう。
一番問題なのは、このまま税収が減れば国の社会資本というか、道路や橋、トンネル、港湾施設など公共のインフラや公共サービスの一環である警察、消防、教育などの原資をどうするのかということである。納税者がいなくなったら、公共サービスが充分行われなくなるのは当然である。その仕組みを根本から破壊する、こういう行為が果たして許されるのか、国際的なレベルで考えるべきことだと思う。漸くOECDでも検討を始めたようだが・・・。
これはタックス・ヘーブンと言われる税金天国に限らず、日本人企業家や投資家が、企業家育成をうたい文句にシンガポールなどへ脱出して行っている税金逃れのやり方にも言えることである。確かに税の公平負担ということについては、国もしっかり考えてもらわなければいけないが、それにしても自己防衛的にただ逃避するというのでは、問題は解決しない。一種の脱税行為に近いと言わざるを得ない。日本にいて日本人として日本社会のために少しでも尽くそうという気がないとすれば、いずれ日本社会は崩壊すると思うと空恐ろしくなる。