政治の世界と同じようにウィンタースポーツの華・ラグビー界でも栄枯盛衰が激しい。今年9月にフランスで開催されたラグビー・ワールドカップでは、残念ながら日本代表チームは、今一つ力及ばず、2大会連続での決勝トーナメント進出は成らなかった。それでも一昨日行われた2024年パリ・オリンピック出場を賭けた7人制ラグビー・アジア予選決勝で日本代表チームは男女ともに勝ち五輪出場を決めた。今はラグビー・シーズンたけなわで、明後23日には大学ラグビー伝統の早慶戦が行われる。その伝統ある大学も近年社会人チームには歯が立たなくなった。
そして大学ラグビー界の勢力地図の変わりようにも興味をそそられる。以前は伝統校である早慶明が圧倒していた大学ラグビー界も、新興の大学が外国人留学生を迎え入れるなどの強化策を講じて、今では勢力地図も大分変って来た。大学勢では、近年帝京大が断トツの力を示すようになり、これまで59回の大学選手権の内、15回優勝の早大に次ぎ、明大が11回であるが、成長著しい帝京大は最近15年の間に9連覇を成し遂げ、優勝回数も明大と同じ11回を誇っている。
実は、関西ラグビー界でも異変が起きている。関西の雄だった同志社大の凋落ぶりが甚だしい。かつては平尾、大八木ら往年のスター選手を輩出して3連覇を含む4度の優勝を勝ち取った同大が、今年は関西大学リーグで初めて最下位に落ちたのには、昔日の感がある。近日2部リーグ優勝校と屈辱の入れ替え戦に臨む。
「栄枯盛衰は世の習い」とは言え、あまりの変容に些か驚いている。
それにしても強かった同志社大に対して母校慶応が10-6で敗れた1977年の大学選手権決勝戦は、今以て忘れられない。後半慶応が中央を抜けゴールポスト直下にトライして逆転と思った直後に、慶応にスローフォワードがあったと判定され、トライの認定は成らず、試合はそのまま同大の勝利に終わったことである。あれが果たしてスローフォワードだったか、どうかについては、今のようにビデオで確認することは出来なかったが、ラグビーファンの間では、今も疑問として残っている。
その同志社大がアメフト部で不祥事があった。昨年5月、部員4人が女性に対して犯した性的暴行事件に、今日京都地裁で厳しい判決が言い渡された。4人に揃って3年6か月の懲役という過酷な実刑判決である。被告人弁護団は、社会で立ち直る機会を与えられるべきとして執行猶予を求めたが、あまりにも悪質と断定され実刑を課せられた。今話題となっている日大アメフト部員の大麻事件を始めとして、どうしてこうも大学運動部内の不祥事が多いのだろう。1大学だけに任せず、多くの大学が共同し一体となって不祥事を防止する抜本的な対策を講じなければ、いつまで経っても同じような事件が起きる。
大学、及び運動部の責任者は余程ふんどしを締めてかからないと、大学運動部は悪の温床になりかねない。