2336.2013年10月5日(土) ベトナムの英雄、ザップ将軍102歳で逝く。

 8月26日の本ブログにベトナムの英雄・ボー・グエン・ザップ将軍が102歳の誕生日を迎えたことに驚き感動し、その時の印象を「ベトナム戦争、いまや遠くになりにけり」と書いたところだが、そのザップ将軍が昨日亡くなられた。あれから1ヶ月余りしか経っていないが、やはりお年のせいで大分弱っておられたようだ。それにしても北ベトナム軍を指揮して、ついにベトナム戦争でアメリカを破り南北ベトナム統一を勝ち取った軍指揮官として、ホー・チ・ミン大統領、パリ和平会議代表だったグエン・チ・ビン女史と並んで印象に残っている人物である。最早南にも北にもベトナム戦争当時の、名のあるベトナム人はいなくなってしまった。いま改めて「ベトナム戦争、いまや遠くになりにけり」を感じる。

 中国やソ連の支援を受け、アメリカと戦って勝利をもぎ取ったのだから、軍人、智謀家としてその実力は言うまでもない。その中国とは一部に国境を接していることもあってベトナム戦争中は中国共産党人民解放軍から力強い支援を受けたことから、中国に対する感謝の気持ちが強かった。

 それがいまではどうだろう。中国海軍の領海侵犯は南シナ海のベトナム領海域にまで進出して両国の間にはただならぬ険悪な空気が流れている。この事態を将軍はどう思っていただろうか。胸中を尋ねてみたかった。

 さて、アメリカではオバマ政権が提出したオバマケアと呼ばれる医療保険制度改革延期を含む暫定予算案が議会で否決され、予算執行が停止されたことに話題が持ちきりである。国家公務員の多くが仕事に従事できず、国立の各施設が機能不全の状態に陥っている。どうしてこういうことが起きるのだろうか。ニューヨーク株式相場も大幅に下がり、世界経済に大きな影響を与えている。その影響はドルの価値を下げ、円高相場へ誘導し、輸出企業にとっては大打撃である。この先新たに債務上限引き上げが承認されなければ債務不履行(デフォルト)の可能性もある。

 この「アメリカは決められない」事態に国民から不満が噴出し、対応に負われてオバマ大統領は予定していたアジア歴訪を取り止めることを決断した。今回の大統領のアジア訪問は従来の訪問とは異なり、特別な意味を持つものだった。ひとつには、アジア太平洋経済協力会議(APEC)出席であり、アジア重視を訴えたアメリカがアジア首脳出席の場でリーダーシップを行使することを期待された。

 しかし、その期待は見事に裏切られ、逆に中国が習近平主席、李克強首相が出席して存在感をアピールする。この結果アメリカのアジア重視政策が、アジアの国々にどのように映るか。

 もう一つは年内妥結を目指す環太平洋経済連携協定(TPP)でオバマ大統領が議長を務めることになっていたにも拘わらず、それを自ら放棄したことである。議長不在となったTPPにとっては大きな打撃である。これでアメリカの望む年内妥結はまず無理だろう。アメリカへの信頼感は大きく損なわれた。アメリカが世界のリーダーであることは誰しも認めているが、与野党間で‘YES’ or ‘NO’の不毛の綱引きをやって世界中を不安に陥れているようでは、とても世界のリーダーとは呼べまい。

2013年10月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com