先日警視庁運転免許本部から運転免許更新を知らせる葉書が届いた。21歳の時に初めて免許証を取ったので、運転歴は半世紀以上になる。来月75歳の誕生日を以って有効期限が切れるので、その更新手続きの案内である。車の運転は年齢とともに運動神経が劣化するので、いつまで運転できるか分らないが、今のところ運転に支障を来たすような健康状態ではないので、まだしばらくは運転をし続けていこうと考えている。
ついてはその免許証の書き換えだが、70歳を区切りにそれ以上の高齢者については更新条件が段々厳しくなっている。それまでの普通の更新手続きの他に、「高齢者講習」を受けなければならなくなった。前回の書き換え、つまり71歳の時初めて「高齢者講習」を受けたが、今年はそれから4年絶っている。今度は75歳になるので、もう1ランク上の高齢者検査を受けることになった。「講習予備検査」と称するもので、「認知度の検査」と書かれている。認知症がわがリーチに入ってくる年齢になったということである。今後この有効期間が3年となり、2年となり、徐々に年寄りに面倒くさい、またかと思わせて、免許証の交付を受けるのを辞退させようという腹ではないかと勘ぐりたくなる。
「講習予備検査」修了書を得てから一般の若い人と同じ免許更新の申請をすることになる。そこで、早い方が良いと思って、検査を行っている自動車教習所に予約を申し込んだところ、これが混んでいて中々予約を取れない。制度ばかり先行して備えをしていない典型である。世田谷区内の指定の2カ所の教習所ではまったく2カ月間予約できず、止むを得ず世田谷警察署の担当者に相談して、多摩市の東急自動車教習所を紹介してもらってやっとそこで予約することができた。
結局高齢者に免許証を書き換えることが面倒だと思わせ、かつ高齢者に金を使わせるような制度ではないかとつい邪推したくなる。普通の更新手続き料金は2500円である。だが、「高齢者予備検査」のための費用はさらに6000円も余計にかかる。ちょっと高過ぎやしないか。これにより冒頭述べたように年寄りが免許の更新を自ら諦めるように仕向けて、結果的に事故を減らそうと考え出されたのが現状なのではないかと思わざるを得ない。
高齢者をどんどん社会の除け者にしていくかのような制度、対応が、果たして福祉社会国家なのだろうか。ついひがみっぽく、そんなことを思った運転免許証更新手続きのドタバタだった。