台風27号と28号が一体となって日本列島を襲う状況にある。先日26号に直撃された伊豆大島では、多数の犠牲者が出たことと、その際流木や土砂でかなりのスペースが埋まって元々弱い火山灰土質のせいで今度も山が崩れるのではないかと懸念され、昨日から高齢者を中心に島外への避難を始めた。27号は今夜半から明日明け方にかけて関東南部を直撃する様相である。
いま姦しいのは、避難勧告を出すべきか否かという議論である。先日大島町では気象庁から避難勧告を受けていながら、島民に避難勧告を伝えず大きな被害を出したことについて反省し、改めて勧告の出し方について識者が喧々諤々の議論を交わしている。30名の遺体が発見された26号の二の舞を避けるためにも、関係者は判断を誤らないようお願いしたいものである。
さて、現在臨時国会が開催されている中で安倍首相が圧倒的多数の与党に後押しされて、その言動が徐々に首相としての自信に溢れてきたともっぱらの評判である。先のIOC総会で2020年東京オリンピック開催決定の大きなポイントとなった「福島原発はコントロールされている」の言葉を巡って、野党の質問に対しても同じ主旨の答弁をしているが、最近の放射能汚染水漏れの状況を見ると怪しいものである。だが、IOCで安全と断言した以上これを訂正するわけにも行かず、はっきり言って「コントロールされている」と汚染水漏れとの間は整合性のある回答とはなっていないようだ。
その中で今日特定秘密保護法案を閣議決定した。近々国会に提出して成立を目指す。法案は特に外務省と防衛省に関わる事案が主で、外交、防衛、スパイ活動防止、テロ防止などについて漏洩すると国の安全保障に支障を与えるとして特定秘密に指定して、秘密を漏らした場合重罰を科すとしている。だが、知る権利との兼ね合いが問題とされ、今日日本ペンクラブも断固反対すると吉岡忍専務理事が記者会見で発表した。これに関する討論会を行うとペン事務局からメールが送られてきた。出席するかどうかは決めていないが、右傾化の道を歩んでいる安倍首相が自信たっぷりに話している危険性を考えると、些か心配である。
折りも折りメルケル・ドイツ首相の携帯電話がアメリカの情報機関の国家安全保障局(NSA)に盗聴されていたことが明らかになった。ブラジルやメキシコなどのトップの電話も傍受されていたとの報道で、ブラジルのジルマ・ルセフ大統領なぞは今月予定していた訪米を取り止めたほど怒っている。同盟国のトップの間で不信な行動を取られたメルケル首相ほかドイツ政府も大いに憤慨している。ドイツはフランスとも歩調を合せて、アメリカのスパイ活動に対して非難し、近日3カ国で個別に話し合いをするということである。このところアメリカのポカが殊のほか目立っている。これでは世界の番人としてアメリカの威信は低下するばかりである。
こんな具合で昨今はどうも寒々しい空気が漂っている。おぞましい感じもする。あるドイツ人が言っていたが、戦前ならこれは宣戦布告に値すると。怖い、怖い。
韓国でも今日日本人右翼が竹島へ上陸したとの前提の下に、韓国警察と海軍が訓練を行い、それをメディアが国民に公開していた。何を考えているのか、こうした露骨な反日行動が最近のささくれ立った日韓対立の大きな原因である。
変なことにはならないと思っているが、世界的にどうも怪しげな雲行きが漂ってきた。