2366.2013年11月4日(月) 米の減反政策の変更?

 いま臨時国会開会中であるが、クリアしなければならない課題を数多く抱えている。その中で日本版国家安全保障局(NSA)の発足も視野に入れた特定機密保護法案の議論が喧しい。また、案外分り難いのが米政策の転換である。現在の米の生産調整、つまり減反政策の廃止を考えるようだ。併せて所得補償など農家への補助金も改める。こんな議論が沸騰してきたのは、いま政府・与党がTPP交渉で関税の撤廃や引き下げを迫られていることがその背景にある。

 重箱の隅をつつくような部分改定では、もう間に合わない。農業を維持し日本人が米を消費し、良い米を生産するという目標がなければ、米政策を転換してもあまり意味がない。

 1970年に国が米の減反政策を始めて以降、米市場を開放した後も高い関税を課して政策の根幹には変更がなかった。その結果国民ひとり当たりの米の消費量がピーク時の約半分にまで減少した。主食用の米を生産しているのは田んぼ全体の3分の2と言われている。将来の米政策確立の見通しが立たなくなっている。

 先日石破茂・自民党幹事長が米の減反政策の欠点を述べ、これを変えなければ日本の米生産に未来はないような発言をしていたが、これは天に唾するような発言ではないか。40年以上も前に国内で農業関係者の反対の中で減反政策を主張して、強引に成案としたのは当時の自民党だったのではないか。特に、秋田県八郎潟の埋め立て干拓工事により、折角農地を手にした農民の強い反対を押し切って減反に踏み切ったことをきれいさっぱり忘れている。

 減反政策の変更を決めるのは、現状では理解できないわけではない。だが、すべて農家に皺寄せして彼らを苦しめる一方で、減反しなければ未来がないような言い分は、少し自らのかつての政策に対する反省があまりになさ過ぎるのではないか。これでは農家のみならず、減反政策の変更によって負担を強いられる納税者は救われない。

 政策立案に当っては、充分な検討と過去の失敗に対する反省がなければ、無駄と時間の浪費を繰り返すだけである。

 もうひとつ、いま話題になっているのが、小泉純一郎元首相の反原発宣言である。昨日横浜市で改めて脱原発について講演を行った。先に脱原発発言を行ったことに対して、自民党内部から反論が雲霞のごとく噴出したからである。小泉氏は核のゴミの処分場がないことを脱原発最大の理由としていたが、首相在任中に原発賛成だったではないかとの指摘に対しては、当時処分場は大丈夫だと思っていた。いまは処分場がないことが分った。その備えがなくて再稼動は政治の無責任だと改めて反論した。「過ちを改むるに憚ることなかれ!」とも述べた。信念が固い。政治家はこうでなくてはいけない。元の家来だった安倍首相はどう回答するだろうか。

2013年11月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com