2369.2013年11月7日(木) 山本太郎参議院議員は平成の田中正造か?

 「文化の日」に開かれた天皇・皇后両陛下主催の園遊会で山本太郎・参議院議員が天皇陛下に直接手紙を手渡した行為に対して厳しい非難の声が挙がっている。山本議員は福島原発の被災地の実態を天皇に知ってもらいたいと直訴すべく天皇に直接手紙を渡した。学生時代に学んだ、田中正造代議士が足尾鉱山の鉱毒被害を明治天皇に直訴しようとして警備中の警官に取り押さえられた足尾鉱毒事件が思い出される。

 11年間に亘って社会派代議士として社会から不正、不平等を追放しようと活動した信念の人、田中正造とはまったく異なる行動で、メディアの中には田中正造とは一線を画している論調が多い。どの政党にも属しない山本議員には残念ながら議会を始め一般からあまり賛同も同情も集まらないようで、参議院で議員辞職要求とか、懲罰の話が浮上するばかりである。山本氏が福島の悲惨な住民の状況を天皇に伝えたい気持ちは分らないでもないが、少しやり方が無作法で稚拙だったし、非常識だったと思う。山本氏は天皇が被災地の実態を知らないと考えたようだが、天皇は震災以後度々被災地を慰問に訪れているので、知らないと考えること自体疑問である。

 山本氏を批判する人は当然原発賛成派の人がほとんどだと思うが、その意味では山本氏は術中に嵌ったということになる。もう少し前広に周囲の人の意見を聞くべきだったと思う。いまごろになって猛省していると言っても、あまり同情する人はいないのではないか。議員辞職については、先の参議院選で68万票もの支持をいただいたので、そういう人たちへの責任上からも辞めるわけにはいかないと言い議員は続けるようだが、その考え方は理解できるにせよ、行動は幼稚だったと言わざるを得ない。こと志と異なって原発賛成派の人々を勢いづかせてしまったかの感がある。

 さて、その原発問題で昨日辺りからしきりに注目を集めているのは、福島第1原発4号機の使用済み燃料のプールから核燃料を取り出し、地上のプールへ移す作業である。今月中旬から始まるこの作業は廃炉作業の第一段階で、上手くいってもすべてを処理できるのは30~40年後とされている。

 問題はこの廃炉作業が今後予定通り順調に進められるかどうかである。

 1986年に起きたチェルノブイリ原発事故では、事故発生から27年経った今年漸く廃炉に向けた準備が始まろうとしている。ここでも事故を起こした4号炉から高い放射線量が計測されている。建屋をコンクリートで覆った石棺が崩壊して、放射性物質が飛び散らないよう改めて巨大なシェルターの建設が進められている状態である。廃炉作業の道遠しというのが実態である。

 こんな危ないものを新たに作ろうと言ってみたり、休止中の原発を再稼動させようと発言したり、それでいて原発に反対する人に対して無責任だという。どちらが無責任か、考えて見れば分ることであり、こういう人たちの思考回路はどうなっているのだろうか。

 こういう危なっかしい原発の厳しい現状を知っていながら、どうして原発再稼動の声が出てくるのか、理解に苦しむ。安倍首相に至っては本当のところは分っておらず、経済界とそれを代弁する経産省官僚から与えられた台本をただ読んでいるだけではないのか。

2013年11月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com