日中、及び日韓間の外交関係が悪化してから1年以上経つが、一向に改善される見通しが立たない。中国との対立は昨年9月日本の尖閣諸島国有化宣言以来悪化するばかりである。一方韓国との外交関係が怪しくなったのは、今年1月朴槿恵氏が大統領に就任して以来、大統領の従軍慰安婦問題と歴史認識問題に対する日本の対応は認められないとの頑なな考えがヒートアップしてからである。日本政府としてはいつでも話合いに応じると門戸を開いていると言っているが、韓国は2つの懸案に対して日本が譲歩しない以上話し合いは意味がないとしてまったく取り合おうとしない。これでは問題は解決しない。国家同士の外交をどう考えているのか尋ねてみたいものである。
お互いに隣国でありながらそれぞれの外交関係が膠着状態に入ったまま首脳同士の交流、会談も実現しない変則的な事態になっている。
李韓国大統領は日本を除くほとんどの首脳外交を済ませ、それぞれの場でもくどいくらい日本を非難する発言に会談に応じた各国からも、対日批判も好い加減にして欲しいとの皮肉も出たり、流石に国内からも強烈な反日主義者は別にして、もう少し冷静になって歩み寄るべきだとの声も出ている。
そんな最中に国際情報誌で月3度発行の旬刊誌「SAPIO」が21頁の総力特集を組んだ。「韓国が背負う『嘘の大小』」と題して、「慰安婦、竹島、パクリ産業の虚飾を暴く!」を副題として韓国の恥部を徹底して暴露しているようだ。小学館がここまでやるかという印象である。ベトナム戦争中のレイプ、有毒食品、ノーベル賞ゼロ、モノマネ文化とここまで相手国の弱点を暴くと売り言葉に買い言葉になるのではないかと心配になる。
一方、中国に対しても「サンデー毎日」11月24日号が手厳しい。最近の中国国内のテロ事件発生を好機と捉えたか、特集は「ぶっ壊れた『中国』の暴走」である。「尖閣は通過点!沖縄、北海道占領の謀略」とか、「弱体化した米国をナメきった宣戦布告」、或いは「軍産複合体を持て余す習近平の罪状」と手厳しく取り上げている。
中韓両国が煽った国家間の対立がエスカレートするようだと困るが、そうかと言ってここまで無節操に相手国を攻撃して少しは気持ちが休まるとでもいうのだろうか。ジャーナリズムをリードする立場にある毎日新聞社や小学館としては、広告見出しだけを見る限り少し非常識が過ぎるのではないかと思う。
確かに現在の中国や韓国の日本に対する対応は、日本人としてあまり気分の好いものではない。しかし、このままこの状態が続くわけはないし、国際社会が全面的に中韓両国を支持するわけでもないし、彼らの対応は自国民を黙らせるためのひとつの対策であることからすれば、悪化した外交関係がこのままで良い筈はない。アメリカも少し両国の日本に対する対応にイェローカードを出しているくらいである。
ここはもう少し我慢して安倍首相が言うように、話し合いの扉は開けて待っているというスタンスが良いのではないだろうか。その意味ではメディア2社の取り上げ方がやや勇み足のような気がする。
それにしても子どもじみたパフォーマンスには少々うんざりである。これでは彼らがすぐ口に出す「言論の自由」もぼやけて見えてくる。