随分残酷なことを知った。中国からのインターネット情報である。台風被害に喘いで世界の各国から支援を仰いでいるフィリピンのレイテ島には、壊滅的な惨状であるにも拘わらず、輸送手段がズタズタで充分な物資も届けられず、遺体ですら道路傍にシーツを被せられたまま放置されている惨憺たる有様で、何とか助けたいとの支援者側の好意も手が及ばない状態にある。日本からも国際医療班や、自衛隊も1000名単位で支援に向かった。
あの台風30号はフィリピンを襲った後ベトナム、中国方面へ向かった。両国においても相当の被害があったものと予想されるが、あまり関連の情報が伝えられない。ところが、中国ではネット上にフィリピン台風被害に対する市民の反応として、援助の必要はないという声が何と8割を占めたという。いくらなんでもこれは酷すぎる。これはどういうことかと目を疑った。他人の不幸を目の前にして彼らを助けず目をつぶるということだ。自然災害によってあれだけの災害を蒙り、財産を失い多数の犠牲者を出したフィリピン国民に対して、知らぬ顔をせよとの中国国民の非情で残酷な声は、あまりにも人道から外れているのではないだろうか。
その原因は南シナ海スカボロー礁における中国とフィリピンの領海紛争にある。しかし、これとそれとでは話が違うのではないかと、中国人を除く普通の人間なら考える。このスカボロー礁だってスペイン支配下にあった時代から明らかにフィリピン領だと思われていたものだが、軍事力に物を言わせた中国が強引に自国領だと主張して海洋に石油掘削施設を設営し紛争が続いている。この領海問題に納得できないのか、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」と思い込んでいる中国は、フィリピンの不幸につけ込んでこの際とばかり苛め抜こうとしている。
天災による災難を自国の権益拡大に絡ませて弱りきっている相手国を徹底的に苛めようとする中国人の情け容赦のない心情には、恐ろしささえ感じる。中国は同じように尖閣諸島がらみで日本にも牽制球を送っているが、戦後の徹底した反日教育によって刷り込まれた「憎っくき日本打倒!」の攻勢を仕掛けてくる可能性もある。無人機を尖閣諸島周辺にも飛ばして、万一日本領域に突入した場合、これを日本が攻撃すれば宣戦布告と見做すと脅したり、世の常識では計り知れない行動を起こす最近の中国のパフォーマンスから一時も目を放せない。
2020年東京オリンピック開催が決定したことに対しても、中国には日本に対して祝意を表すとか、好意的な意見は少なく、東京開催をどうしたら中止に持ち込めるかと議論があるほどである。こういう常識がまったく通じない隣国とはどういう付き合いをすべきか、前例のないお隣さんの傍若無人ぶりには手を拱いて傍観しているより打つ手はないものだろうか。