5690.2023年3月20日(月) 天才棋士・藤井聡太新棋王、6冠に

 昨日将棋・棋王戦で20歳の藤井聡太5冠が、渡辺明棋王を破り、新たなタイトルを獲得した。これで藤井新棋王は、「王将」、「竜王」、「王位」、「棋聖」、「叡王」、「棋王」の6つのタイトル・ホルダーになった。6冠は羽生善治9段以来2人目で、しかも20歳8か月の6冠は、羽生九段の24歳2か月を上回る史上最年少である。残されたタイトルは「名人」、「王座」の2冠であり、これを獲得すれば、8冠になる。彼はもう天才であろう。一層の活躍を期待したいと思う。

 さて、いまから20年前の今日、イラク戦争が始まった。ちょうど私が会社を辞めたころである。以前に下重暁子・日本旅行作家協会会長から、近藤さんはイラクやラオスを訪れたら現地で良い取材が出来るように思うので訪れてみてはどうかとアドバイスされたことがあるが、確かにイラクにはメソポタミア周辺やバビロンには歴史的観光地がある。訪れてみたいと考えていたが、その間に戦争が泥沼化して残念ながらその機会を失ってしまった。その後イラクでは延々戦闘が続けられ、8年8か月後の2010年8月、オバマ大統領の「戦闘終結宣言」によって漸く戦火は止んだ。そもそもこの戦争は、ほとんど国際社会の理解を得られていなかった。ウクライナ戦争と同じである。アメリカが9.11テロにつながる恐怖心とアフガニスタンでアルカイダを追放したとのおごりから始まったものである。「有志連合」と名乗ってはいたが、アメリカの他にイギリスとオーストラリア、それに一部部隊を派遣したポーランドが参加しただけの一部の軍事介入だった。特に問題となったのは、イラク国内に大量破壊兵器があると疑心暗鬼に陥り、「有志連合」は非民主的なフセイン政権打倒のためと称して軍事行使に踏み切ったことである。しかし、肝心要の大量破壊兵器は発見されなかった。アメリカがこれほど国際社会に恥を晒したことはなかった。これもおごりと客観的に検討することが不十分だった機能不全と言うべきものだった。

 戦争とその後のイラク国内における混乱により、イラクでは20万人以上の死者を出し、アメリカ兵やその関係者も約9千人が犠牲になった。その後のアメリカ軍による占領政策は、イラク人の気持ちを配慮出来ないまま、フセイン政権下ではスンニー派が支配したが、フセイン政権崩壊後はシーア派が勢力を盛り返す宗教間の対立もあり、国内は混乱するばかりだった。結局アメリカのひとりよがりの占領政策は失敗と言って良かった。

 イラク撤退と同じように一昨年アメリカ軍が占領下のアフガニスタンから撤退した後、追放されていたタリバンが再び権力を取り戻して、徹底した女性差別やイスラム教義の信仰などでイスラム化を強要した民主主義の破壊行為を繰り返している現実を見れば、アメリカの占領がここでも失敗だったことは明らかである。

 これらのトラウマと屈辱が、いまアメリカがウクライナ侵攻について声を大にしてロシアを非難出来ない理由ではないかと思う。

2023年3月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com