5689.2023年3月19日(日) 公益財団法人日本相撲協会の改革を

 一昨日我が家に泊まっていた3人の孫たちが奈良へ帰って行った。見送りがてら横浜市内に住んでいる次男家族4人と待ち合わせ、新幹線新横浜駅近くで会食をした。2人の孫娘は大学生でまだすべてに子どもっぽい印象を受けるが、来月から新社会人になる孫息子は、幼いころに比べて大分成長し、大人になったような印象である。本もよく読んでいるようで考え方も頼もしくなったし、行動もしっかりして、あまり雑事に物怖じしなくなったようだ。高校生になったころは、やや引き籠り気味で何となく頼りなかったせいもあり、少し外国の実情を見せた方が良いと考えて、1年生の夏休みにサンフランシスコとヨセミテ公園に連れて行ったことがある。これから社会人となってどれだけ成長するだろうか、楽しみにしている。

 さて、WORLD BASEBALL CLASSIC(WBC)で大盛り上がりの野球に比べて、いま春場所最中の大相撲が、どうも今一つ盛り上がらない。先場所優勝した大関貴景勝が、今場所横綱昇進を目指したが、それが6日目で3勝3敗となったうえに、左膝の故障で昨日の7日目に休場してしまった。これで横綱・照ノ富士の休場と併せて、昭和以降で初めて横綱と大関が不在の場所となった。昨日7日目の結びの一番が、関脇・若隆景と前頭4枚目・阿武咲の対戦という些か物足りない取り組みとなってしまった。これでは盛り上がらないのも無理はない。平成時代には、若貴兄弟横綱時代や、白鵬、日馬富士、鶴竜のモンゴル出身3横綱が覇を競った時期もあったのが、今では横綱、大関がひとりも土俵に上がらない寂しい場所となった。照ノ富士、貴景勝のいずれも膝を大きく損傷しているようだが、この責任は日本相撲協会にもあると思う。
 それは、力士にケガが多く、それを回復させるための時間があまりにも少な過ぎることである。現在1年に6場所も行われるが、それだけで90日も土俵上に上がらなければならない。その上次の場所が開かれるまでの間隔が1か月半しかない。しかもこの間地方巡業という本場所以上に厳しい稽古の日が続く。これでは、とてもケガを直している時間が足りない。かつては「1年を20日で暮らす好い男」というくらいお相撲さんは、次の場所までのんびりと休むことが出来た。これならケガも直しやすい。
 いまの幕内の相撲を観ていると身体中に包帯や湿布をしている関取が目立つ。相撲協会も金儲けばかり考えず、協会の財産である力士の健康管理に気を遣い、年間6場所の内1~2場所を削減することを検討してみる必要があるのではないだろうか。

 日本相撲協会はプロスポーツ組織の中では珍しく、公益目的事業の公益財団法人として認められ、国から税制上の優遇措置を受けている。両国国技館も自前の施設であるため、大阪、九州場所以外は本場所の出費もそれほどかからない。全収益の内約85%が相撲事業による収益で、利益は100億円を超えていながら、支払った法人税等は僅か15万円程度である。この規模の株式会社なら税金は、通常2億3千万円ほどになる。1場所くらい減らしても財政的に苦しいことはないと思う。この優遇措置に対して実際一部に批判的な声が聞かれている。一般論として気がかりなのは、相撲協会内には「改革」、「成長」、「発展」の産声が上がらないことである。観客の入場料とNHK放映権料が安定した主たる収入である上に、幕下以下の力士には給与も支払っていない。理事長以下の人事も力士OBだけに委ねられ、有識者や外部の現実的な声は採り入れられない。大分以前から旧制度を継承し、人事の刷新も見られない。旧態依然のままである。国が直接介入、指導しても高市大臣のように圧力を加える3流の政治家が口出しするようでは問題になるが、もう少し監督官庁が普段から実態をチェックして、財産である力士の健康管理のためにも力士が過重労働に追い込まれていないか、場所数を減らしではどうか、等々彼らの健康面での負担を軽減するなど、適宜アドバイスするなりして硬直化した組織と運営を進歩的な組織へより改革する必要があるのではないだろうか。

2023年3月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com