2400.2013年12月8日(日) 戦争の恐怖。初めチョロチョロ、あとパッパ

 一昨日深夜特定秘密保護法案を強行採決した自民党、公明党への批判が激しい。朝日新聞の世論調査に依れば、同法案の反対者は76%だという。国民の3/4が反対していることになる。冷静に分析して少なくとも国民の過半数は反対だと見ている。これではもう世論の支持を得られているとは思えない。それを(議員)数の力に物言わせ、拙速に自分らの考えを押し通す政権政党自民党の傲慢さに対して腹が立つが、よく考えて見れば自民党議員を当選させた我々国民にも大きな責任があると思う。

 今日テレビで識者が、なぜこれほど急いで法案の成立を図るのかとの質問に、早く法案を通さないと法案の内容が国民に理解されるようになり反対意見が多くなり、法案成立が危ぶまれるから国民がまだ気がつかない今のうちにエイコラサとやってしまおうとの考えのようだ。事実朝日の世論調査の結果も前回の反対者は50%、前々回は42%だった。どんどん反対が増えている。これだから後ろめたい政府が採決を急ぐわけである。しかし、これでは国家の国民に対するだまし討ちではないか。国民こそ良い面の皮である。これこそ一党独裁の怖いところではないか。

 今日も友人たちから政府のやり方に憤るメールをもらった。口では民主政治なんて言っていながら、天下を取った自民党には謙虚とか、遠慮とか、少数意見の尊重なんてまったく考えてもいないことは明らかである。

 さて、今日は太平洋戦争の開戦記念日である。開戦時は3歳だったから当時の世相は知る由もないが、時恰も特定秘密保護法案が戦時中の秘密とか、密告を想像させ、暗い時代の到来を思わせる。

 今朝の「天声人語」に永井荷風「断腸亭日乗」に書かれた開戦3日後の文章が面白い。荷風らしく浅草の踊り子が気になったようで「歓楽街の人出はいつもと変わりなく、芸人や踊り子のふるまいもまた同じ」とあった。

 書棚に大分前に入手した吉野俊彦・元日銀理事の「『断腸亭』の経済学」なる荷風文学の収支決算と称した分厚い評伝書がある。平成11年11月に読了とのメモがある。所々朱線を引いてあるが、著者には申し訳ないことに内容はあまり印象に残っていない。

 だが、荷風書の12月11日に確かにこう書いてある。

 「~日米開戦以来世の中火の消えたるやうに物静なり。浅草邊の様子いかがならむと午後に往きて見る。六区の人出平日と変りなく、オペラ館芸人踊子の雑談亦平日の如く、不平もなく感激もなく無事平安なり。余が如き不平家の眼より見れば、浅草の人達は堯舜の民の如し~」

 最初は案外こんな程度だったのだ。この後にじわじわと恐怖がやって来る。特定秘密保護法案が戦時中の治安維持法のように法衣の下の鎧でないことを祈りたい気持ちである。

2013年12月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com