5648.2023年2月6日(月) 中国政府の違法で説得力に欠ける主張

 とかく対立しがちの米中関係の雲行きが、また怪しくなってきた。中国の民間用無人飛行船をアメリカが撃墜したことに、中国はいきり立っている。しかし、今回の気球侵入事件は中国側に弱みがあることは間違いない。気象観測用の気球が不可抗力でアメリカ国内へ入ってしまったと遺憾の意を表明していた。だが、素人目にも中国政府の言い分には、本音を隠しているような印象を受ける。遠く中国大陸から気球を太平洋上に向かって飛来させ、アリューシャン列島からカナダへ入国し、モンタナ州を通りアメリカ大陸を横断し大西洋上で撃墜された。これでは不可抗力というより意図的な企みであると考えざるを得ない。事前になぜアメリカ政府にその趣旨とルートを通達しなかったのだろうか。しかも、飛行したルートのモンタナ州には核大陸間弾道ミサイル(ICBM)が地下サイロに設置された空軍基地などの重要な軍事施設がある。偵察用飛行と思われても弁解の余地がなかろう。

 この点については元自衛隊海将が、飛行船は航空機と同じと考えられているので、明らかに領空侵犯であると語っていたし、今日来日したネルソンNASA長官も、どうして中国がこのような飛行船を飛ばしたのか理解出来ないと話していた。ところが、この撃墜に対して中国外務省は、大げさに過剰反応を示し、国際慣例の重大な違反だと強く反発している。無人だったのがせめてもの救いであるが、中国の言い分は自らの立場を正当化するためにだけ述べられたもので、常識的には通用しない。いずれ撃墜された部品が発見されたら、気象用であるか、偵察用であるかがはっきりするだろう。仮にその時偵察用部品が発見された場合には、中国政府はどのような弁解をするか興味深くなってきた。

 今後米中関係対立が深まらないことを祈るばかりであるが、中国は南シナ海の海洋進出でも国際裁判所から国際法違反を指摘されていながら、聞き入れようとせず、自らの立場だけを主張して侵略行為を行い、国際法の精神を知らない国家・国民であることを世界中に知らしめているだけである。

 さて、あらゆる物価の値上げで消費者物価の高騰が留まらないが、とりわけ家庭で必需の電気料金が約3割の値上げをはじめ水道料金、ガス料金の値上げのあまりの値上げ幅に打つ手もない。それは家計への影響ばかりでなく、一般にはあまり知られていない国宝である文化財の保存にも大きな影響が出ている。昨年創立百周年を迎えた東京国立博物館(東博)では、光熱費の値上がりに悲鳴を上げている。例年年間の光熱費は約2億円であるが、今年は倍以上の約4億5千万円に膨らむ見込みという。それは文化財を守る収蔵庫で原則的に24時間、空調が稼働しているからである。燃料価格の高騰が今後も続く場合には、東博では来年度光熱費が7億円という、途方もない費用に膨らむ可能性もあるという。これは東博だけの問題ではなく、他の国立博物館などでも文化財の修理や新規購入を延期せざるを得ないところまで来ているようだ。

 普段博物館に出かけてもこういう内部の問題にはまったく関心を持たないが、現実には多くの問題を抱え、それがウクライナ侵攻のような国際的に大きな戦争になると余計影響力が表れるものだということを改めて知った。

2023年2月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com